研究課題/領域番号 |
23591647
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
亀田 健治 愛媛大学, 総合科学研究支援センター, 講師 (60363264)
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研究分担者 |
白方 裕司 愛媛大学, 医学部附属病院, 准教授 (50226320)
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キーワード | 再生医療 / 三次元培養 / 脂肪細胞 / 幹細胞 / 角化細胞 |
研究概要 |
当研究は、皮膚再生医療を推進する目的のために三次元培養皮膚の作製法を目的としている。我々は、これまでに羊膜を併用して三次元培養皮膚を作製することにより、簡便に三次元培養皮膚を作製できる方法を確立できている。しかし、用いる細胞は皮膚由来の細胞であり、大量培養が困難であった。今回、脂肪組織からの間葉系幹細胞の分離培養を試みた。脂肪組織は皮膚に切開を入れることなく脂肪吸引法にて得ることができる組織であり、かつ採取量はかなり多くの組織を得ることができる。これは患者負担という点からすると大きなメリットであり、血液採取と同じような感覚で受け入れられる。まずは脂肪組織由来間葉系幹細胞が幹細胞としての増殖能力を有しているかについて明らかにしようと検討した。また、最適の増殖培養環境について培養液や添加因子、さらには培養条件を検討し、その培養法を確立する。間葉系幹細胞は形態が線維芽細胞と似ているため、間葉系幹細胞を線維芽細胞として使用可能かについて検討した。具体的には継代操作による細胞増殖能の検討、培養上清中に分泌されるサイトカイン、細胞成長因子の測定、サイトカイン、細胞成長因子刺激時の遺伝子発現などを検討した。また、コラーゲンゲル中での増殖、形態について線維芽細胞との比較検討した。 三次元培養皮膚での表皮角化細胞へ分化できる条件を詳細に検討した。その際に添加因子、培養液、さらには他の細胞との供培養の実験系を用いて角化細胞への分化誘導法についても明らかにすることも試みた。 さらに、現在、脂肪由来間葉系幹細胞と線維芽細胞をそれぞれ培養し、分化誘導培地に変更しその形態的変化も解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
皮膚再生医療を目的とした三次元培養皮膚の作製法を検討した。比較的大量に採取しやすい脂肪組織を用い、脂肪組織から間葉系幹細胞を分離培養し、分化誘導にて線維芽細胞と角化細胞を作製し、これら分化誘導細胞にて三次元培養皮膚を作製する方法を開発することを目的とした。 手術時に得られた脂肪組織を生理食塩水にて洗浄し、ハサミやメスを用いて細切する。滅菌三角フラスコに移し、0.1%コラゲナーゼ/ダルベッコ変法MEM培地を注入し、37℃にて60-90分反応させる。脂肪は上層に分離し、細胞は沈殿する。上清を除去し細胞を培養をする。培養4-7日後に細胞数を測定する。細胞数の測定結果をもって増殖能が高いか低いかを確認した。20回前後の回数で検討中である。同じような形態を示す線維芽細胞とどの程度性質が異なるかについて検討した。培養上清中のサイトカイン・細胞成長因子についてELISA法を用いて解析した。さらに線維芽細胞に対して増殖促進、抑制する因子を数種類選び(bFGF, TGF-beta, PDGFなど)、培養液に添加し、刺激後のサイトカイン・細胞成長因子についてもELISA法を用いて解析した。サイトカイン・細胞成長因子刺激後経時的にRNAを回収し、主にサイトカイン・細胞成長因子の遺伝子発現についてmicro array解析、real-time PCR法にて比較検討している。しかし、まだ、明確な結果は出ていない。 さらに、現在、脂肪由来間葉系幹細胞と線維芽細胞をそれぞれ培養し、分化誘導培地に変更しその形態的変化も解析している。
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今後の研究の推進方策 |
三次元培養皮膚の作製法をさらに詳細に検討する。すなわち、脂肪組織から間葉系幹細胞を分離培養し、分化誘導にて線維芽細胞と角化細胞を作製し、三次元培養皮膚を作製する。 前年度に引き続き、同じような形態を示す線維芽細胞とどの程度性質が異なるかについて検討する。培養上清中のサイトカイン・細胞成長因子についてもELISA法を用いて解析する。さらに線維芽細胞に対して増殖促進、抑制する因子を数種類選び(bFGF, TGF-beta, PDGFなど)、培養液に添加し、刺激後のサイトカイン・細胞成長因子についてもELISA法を用いて解析する。サイトカイン・細胞成長因子刺激後経時的にRNAを回収し、主にサイトカイン・細胞成長因子の遺伝子発現についてmicro array解析、real-time PCR法にて比較検討する。脂肪由来間葉系幹細胞と線維芽細胞をそれぞれ培養し、分化誘導培地に変更しその形態的変化を解析する。具体的には脂肪細胞誘導培地に変更後、脂肪染色にて陽性細胞が得られるかについて検討する。さらに骨分化誘導培地に変更し、アルカリフォスファターゼ染色陽性の骨細胞へ分化する能力を維持しているかについて検討する。 手術時に得られた脂肪組織を生理食塩水にて洗浄し、ハサミやメスを用いて細切する。滅菌三角フラスコに移し、0.1%コラゲナーゼ/ダルベッコ変法MEM培地を注入し、37℃にて60-90分反応させる。脂肪は上層に分離し、細胞は沈殿する。上清を除去し細胞を培養をする。培養4-7日後に細胞数を測定する。細胞数の測定結果をもって増殖能を詳細に検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
細胞培養等試薬および成長因子等の試薬の購入。また、不足時の一般試薬の補充購入に使用。さらに、情報収集のための国際皮膚科学会(平成25年度は英国で開催)参加や国内でのセミナー、学会、研修会参加のための旅費。学会、セミナー等の参加は、当研究を遂行するためには重要であると考えられる。
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