研究実績の概要 |
最終年度の今年度は、特に脂肪由来間葉系幹細胞の真皮構成成分としての検討を行なった。すなわち、ブタ腱由来Ⅰ型コラーゲン液に脂肪由来間葉系幹細胞を加えてカルチャーインサートに添加し、ゲル化させた。その後10%FCS/DMEMを適量インサートの内と外に添加し、5日間5%CO2, 37℃で培養した。5日後にゲルが収縮しているか確認した。ゲルの表面に羊膜を密着させ、数時間静置した。あらかじめ培養しておいたヒト表皮角化細胞を剥離し、羊膜の上に播種する。2日間培養後、空気曝露を行い重層化させた。経時的にサンプルを回収し、HE染色、免疫染色、電子顕微鏡にて検索する。正常な表皮が構築されていれば間葉系幹細胞が真皮を構成できることを確認した。 脂肪由来間葉系幹細胞から分化誘導した角化細胞を用いた三次元培養皮膚の作製。 確認できた真皮成分に脂肪由来間葉系幹細胞から分化誘導した角化細胞を播種し2日間培養後、空気曝露を行い重層化させた。経時的にサンプルを回収し、HE染色、免疫染色、電子顕微鏡にて検索した。具体的にはHE染色にて形態学的な特徴を解析し、免疫染色にて基底膜構成成分(ラミニン5,Ⅳ型コラーゲン、Ⅶ型コラーゲン、α6β4インテグリン)、細胞間接着因子(Eカドヘリン、デスモグレイン1,3,α2インテグリン)、細胞骨格(ケラチン5,14,Ⅰ,10)、分化マーカー(インボルクリン、ロリクリン、トランスグルタミナーゼ)などの発現を比較した。 脂肪由来間葉系幹細胞から作製した三次元培養皮膚のin vivoでの機能確認。 作製できた三次元培養皮膚をヌードマウス背部に移植し、生着性について検討した。さらに経時的にサンプルを回収しHE染色、免疫染色、電子顕微鏡にて正常皮膚と比較検討し、その有用性、再現性について詳細に検討した。
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