研究課題
マウス皮膚色素細胞(メラノサイト)の分化研究から、MITF、チロシナーゼ関連蛋白(Trp-1、DOPAクロムトウトメラーゼ)、Kit、チロシナーゼ、エンドセリンBレセプター、DOPAといった物質が重要であることが確認できた。特に、MITFを突然変異させたMitfmi-ewマウスを用いたマウスの神経冠初代培養系の施行で、多くの有効なデータを確立した。Tyrp1は、MITFと関連のない系でも、重要な因子として色素細胞に何らかの作用を行っている可能性を証明した。こうしたデータは、今後、研究対象としているヒトiPS細胞からの色素細胞誘導の条件設定の参考となっている。紫外線の照射により、角化細胞(ケラチノサイト)はエンドセリンを産生し、エンドセリンは皮膚表皮内の色素細胞を刺激し、色素細胞で産生されるメラニンの生成が増加するといわれている。活性型ビタミンD3外用と紫外線照射の併用による治療は、皮膚表皮内の色素細胞が機能しない尋常性白斑に臨床的に効果がある、とされているが、その機序がはっきりしない。そこで、ヒト皮膚メラノサイトと、より未分化なヒトメラノブラストを使用して、検討した。活性型ビタミンD3は、メラノサイト分化を刺激し、エンドセリンBレセプターを介して、メラニン色素の産生を助長する作用が確認された。さらに、レチノイド(ビタミンA誘導体)での効果も検討している。尋常性白斑の治療として、まず現況の医療事情を鑑みた治療として、エキシマランプ照射を併用した1mmミニグラフト術(植皮術)を用い、成功を収めている。
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皮膚科の臨床
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