研究課題
TRAPS(TNF receptor associated periodic syndrome) は周期的な発熱、関節痛、皮疹を特徴とする遺伝性自己炎症性疾患であり、近年、その原因遺伝子がTNF受容体(TNFRSF1A)遺伝子であることが判明した。しかしながら、その遺伝子変異が病態にどう寄与するかについては不明な点が多く、治療も標準化されたものが依然存在しない。そこで、変異TNF受容体遺伝子を高発現するトランスジェニックマウスを作製し、TRAPSモデルマウスになるかどうか検討し、さらに新規治療法の開発をめざすために、マウス受精卵にインジェクションするDNA作成、精製した。平成23年度に製作したヒトの重症TRAPS患者での変異p.T50Kと相同なp.T79KマウスTnfrsf1acDNA変異を導入したプラスミドDNAを精製し、このプラスミドを制限酵素BlnIとPvuIで切断し、断片を精製した。このDNA断片をサイズマーカーとともに、アガロースゲルで電気泳動を行い、長さを確認した。さらに吸光度計を用いて濃度を測定し、マウス受精卵にインジェクションした。生まれてきた胎仔の尾からプロテアーゼやカラムを用いてDNAを採取した。このDNAにプラスミドDNAが挿入されているかどうかをプラスミドDNA特異的なプライマーを用いて増幅したところ、一部のマウス胎仔の尾にプラスミドDNAの挿入が確認された。
2: おおむね順調に進展している
前年度完成したプラスミドをマウスの卵に注射し、生まれてきた胎仔の尾からDNAを採取し、プラスミド由来の遺伝子の挿入が確認されたため。
変異TNF受容体トランスジェニックマウスを用いて、皮膚や他の臓器などの組織学的、臨床学的検討を行う。これらの知見を踏まえ、人のTNF受容体に異常のある自己炎症性疾患TRAPSの新規治療法について考察する。
変異TNF受容体トランスジェニックマウスの解析のための抗体などの試薬を購入する。さらに情報収集のためイギリスのエディンバラで開催される研究皮膚科学会に参加する。
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