研究課題
①難治性統合失調症など精神疾患の患者に対する塩酸ミノサイクリン投与状況に関する後方視的研究 対象:統合失調症の診断基準を満たす患者およびその他の精神疾患のために外来および入院治療された患者の内で、精神科治療期間中に何らかの感染症のために塩酸ミノサイクリンを投与した患者(約100名)を研究対象とした。解析:統合失調症やその他の精神疾患患者に対して塩酸ミノサイクリンの投与状況を詳細に把握し、その投与に関連すると思われる有害事象も詳細に検討する。さらに投与前後で、対象となった患者の精神症状の重症度変化、錐体外路症状の出現頻度とその重症度、社会適応状況などを比較検討した。②難治性統合失調症など精神疾患の患者に対する塩酸ミノサイクリン投与状況に関する前方視的研究 対象:統合失調症の診断基準を満たす患者(約100名)およびその他の精神疾患(約100名)のために島根大学医学部附属病院精神科神経科で外来および入院治療された患者を対象とした。解析:塩酸ミノサイクリン投与群、他の抗生物質投与群、抗生物質非投与群間での精神症状の改善度を解析した。③統合失調症モデルラットおよびGunnラット(先天的非抱合型ビリルビン血症ラット)の脳組織学的研究 方法:統合失調症様行動パターンをしめすGunnラット、従来から統合失調症のモデルとして使用されてきた覚醒剤投与ラット、正常コントロールとしてJcl:Wistar系ラットを用い、肉眼的形態変化の観察、光顕レベルで大脳皮質、海馬、小脳皮質での特徴的変化の有無を検討した。研究項目:HE,Nissle染色に加え、Iba-1,NCAM,Wntなどのミクログリア、神経発達、神経アポトーシスに関係する分子に対する抗体を用いた組織化学的方法を用いた。その結果、Gunnラットでは、神経炎症所見が存在することがわかった。④Gunnラットの神経炎症所見は、ミノサイクリンの投与により、軽減する可能性が明らかになった。
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