研究課題/領域番号 |
23591681
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
秋山 一文 獨協医科大学, 医学部, 教授 (40150990)
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研究分担者 |
倉冨 剛 獨協医科大学, 医学部, 助教 (00593592)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 統合失調症 / 認知機能 / 一塩基多型 / 染色体22q11.2領域 |
研究概要 |
染色体22q11.2~22q12.1は統合失調症脆弱領域と考えられている。この領域のいくつかの遺伝子の一塩基多型(SNP)が日本人統合失調症患者及び健常者の認知機能に影響を与えるかどうかを調べるのが研究の概要である。平成24年度にイルミナ社®チップ(商品名カスタムGoldenGateジェノタイピング)による網羅的解析を行うことを前提とし、平成23年度は解析の対象となるSNPの選定作業を行った。HapMapProjectに公開されている各遺伝子のタグSNPを5’端領域、3’端領域、エキソン、イントロンの情報をハプロビュー(遺伝子解析ソフト)にダウンロードし、有力な連鎖不均衡ブロックを作成した。連鎖不均衡ブロックごとにタグSNPを選定した。SNP選定に際しては、次のような重み付けを行った。アミノ酸変異を伴うcSNPをカテゴリー1、アミノ酸変異を伴わないcSNP (sSNP)や5’端領域、3’端領域、promoter領域、エキソンイントロン境界領域をカテゴリー2、その他のイントロン上のSNPをカテゴリー3として各SNPを分類した。またマイナーアレル頻度(MAF)が10%以上をA、10%未満をBとしてさらに2群に分けた。選定SNPの妥当性について、本研究の実際の解析を委託する理研ジェネシスと緊密な連絡を取り、同社が手がけた過去の解析実績などに基づいた評価も勘案し、最終的に144個のSNPを選定した。一方、獨協医科大学病院またはその関連病院に通院中または入院中の統合失調症の患者、及び患者と性差・年齢をなるべく近似させた健常対照者を引き続き集積し、全般的な認知機能検査としてその有用性が証明されている統合失調症認知機能簡易評価尺度日本語版(BACS-J)を行った。病前の知能指数はJapanese Adult Reading Test (JART)を用いて推定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最大限のエフォートを使い、1年間かけて解析すべき一塩基多型(SNP)を絞り込んだ。また、統合失調症の患者と健常対照者の集積も地道に行っている。
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今後の研究の推進方策 |
当該科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)交付申請書に記載したように研究を推進していく。平成24年度半ばに、集積したDNAサンプルを理研ジェネシスに送付し、最終選定したSNPについてカスタムGoldenGateジェノタイピングを行う。解析は2ヶ月程度で完了する予定である。そして解析対象遺伝子と認知機能との関連を詳細に解析する。GoldenGateジェノタイピングによりいくつかの重要な脆弱領域・遺伝子が絞り込めるものと予想される。統計解析法としては、ハプロタイプ(SNPの組み合わせ)の有意差に関する統計解析はDynacom社のSNPAlyze 5.1 standardによって行う。それぞれのSNP多型、年齢JARTによって推定した病前知能指数、教育年数がBACS-Jの各ドメイン(言語性記憶、ワーキングメモリー、運動機能、言語流暢性、注意、遂行機能)、WCSTの保続、獲得カテゴリー数に与える影響を患者群、健常対照群のそれぞれについて統計ソフトSPSSによって統計解析し、相互作用も解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の研究実施計画に従い、ジェノタイピングの解析にカスタムGoldenGateジェノタイピングを理研ジェネシスに委託する。直接経費の大半はこの委託にあてる。
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