研究課題/領域番号 |
23591687
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
久住 一郎 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30250426)
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研究分担者 |
伊藤 侯輝 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40455663)
豊巻 敦人 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (70515494)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 社会知覚 / biological motion / coherent motion / at risk mental state / 統合失調症 / 中間表現型 / 認知機能障害 |
研究概要 |
統合失調症の認知機能障害は、代表的な中間表現型指標の一つと考えられている。社会認知の基盤となる社会知覚にbiological motion(BM)知覚があり、われわれは既にfMRIを用いて、統合失調症患者においてBM知覚の際の上側頭溝の賦活が健常者に比べて低いことを見出している。BM刺激は、いわゆる大細胞系経路で処理される視覚刺激であるが、同じ経路で処理されるが社会知覚の意味付けの少ないcoherent motion(CM)知覚も障害されている可能性は否定できない。そこで、統合失調症患者20例と性別・年齢をマッチさせた健常者20例においてBM課題とCM課題を同時に測定し、その成績の相関を検討するとともに、臨床背景や症状との相関についても併せて検討した。その結果、統合失調症群では健常群と比較して、BM課題成績は有意に低かったが、CM課題成績には有意差は認められなかった。また、両課題成績の相関は見られず、BM課題が統合失調症の中間表現型指標として有用である可能性が裏付けられた。 At risk mental state(ARMS)患者における検討を開始するにあたり、北海道内の精神科医療機関初診患者においてARMS患者の有病率を把握することを目的に、精神科クリニック、大学病院、総合病院精神科、精神科単科病院を初診した患者のうち16-30歳の患者を対象に、スクリーニングのための自記式質問紙PRIME screen日本語版(PRIME-J)、主観的抑うつに関する自記式質問紙PHQ-9を施行し、PRIME-Jがカットオフポイント以上の対象者に対しては、より詳細な症状と重症度把握のための構造化面接であるSIPS/SOPSを施行した。その結果、対象患者45名のうち、ARMS患者は7名(16%)であった。現在、対象者を増やして、さらに検討を続けている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
慢性期統合失調症患者を用いた中間表現型指標測定法の確立はおおむね終了したが、ARMS患者や初発統合失調症患者のリクルートが遅れており、それらの患者を対象とした中間表現型指標の測定が進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
北海道内の医療機関におけるARMS患者のスクリーニングが開始されて軌道に乗ってきているので、さらに症例数を増やすことで今後はARMS患者や初発統合失調症患者を対象とした測定が進むことが期待される。
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次年度の研究費の使用計画 |
3月度の物品購入及び謝金を4月に支払う為に未使用残としている。
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