研究課題/領域番号 |
23591688
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
傳田 健三 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (10227548)
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研究分担者 |
井上 猛 北海道大学, 医学研究科, 准教授 (70250438)
田中 輝明 北海道大学, 北海道大学病院, 助教 (00374447)
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キーワード | 双極性障害 / 児童期 / 青年期 / 併存障害 |
研究概要 |
児童・青年期の双極性障害の症例について、診断、臨床的特徴、遺伝歴、comorbidity、経過、および転帰について検討することを目的とし、臨床的研究を行った。 札幌市内の小児科発達障害クリニックである「楡の会こどもクリニック」児童精神科外来を初診し、双極性障害と診断された8~17歳までの児童・青年30例(男子8例、女子22例)を対象に後方視的なカルテ調査を行った。 双極性障害と診断された30例の内訳は、双極I型障害が1例(3.3%)、双極II型障害が12例(40.0%)、特定不能の双極性障害が17例(56.7%)であった。気分障害の遺伝歴は、児童期発症群の方が青年期発症群よりも有意に多いことが示された。併存障害については児童期発症群の方が青年期発症群よりも有意に広汎性発達障害と注意欠如・多動性障害を併存しやすいことが示された。経過の特徴として、児童期発症群の方が青年期発症群に比べて、混合型が有意に多くみられることが示された。青年期発症群の中では、混合型よりも急速交代型の方が有意に多くみられることが示された。転帰については、児童期発症群と青年期発症群の間に有意な差は認められなかった。 児童期発症群は、気分障害の遺伝歴が多く、広汎性発達障害と注意欠如・多動性障害の併存が多く見られ、躁病相とうつ病相が混合した経過をたどりやすいと考えられた。青年期発症群は、広汎性発達障害や注意欠如・多動性障害、不安障害との併存が多く見られ、経過については児童期と比べて躁病相とうつ病相の区別が明瞭となりやすいと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小児科発達障害クリニックである「楡の会子どもクリニック」児童精神科外来を受診し、双極性障害と診断された児童・青年30例(男子8例、女子22例)を対象とした臨床的研究を行った。わが国において児童・青年期の双極性障害の多数例を対象とした臨床研究は初めてであり、その意義は大きいと思われる。この研究は、すでに日本児童青年精神医学会の学会誌である「児童青年精神医学とその近接領域」に投稿し受理された。研究は計画通りに進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
小児科発達障害クリニックに通院中の双極性障害の経過、併存障害comorbidity、転帰に関する研究をさらに重点的に行う予定である。現在気分障害として経過観察中の患者が109例通院している。その患者のうち79例がうつ病性障害、30名が双極性障害と診断されている。うつ病で通院中の患者の何%が双極性障害に発展していくのか、双極性障害と診断された30名が今後どのような経過をたどるのかを検討していきたいと考えている。 以上の研究を論文化して公表していく予定である。さらに、上記を総合した著書も出版する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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