研究課題/領域番号 |
23591692
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
川勝 忍 山形大学, 医学部, 准教授 (00211178)
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キーワード | 嗜銀顆粒性認知症 / アポリポ蛋白E / MRI / VSRAD / Voxel-based morphometry / アルツハイマー型認知症 / SPECT |
研究概要 |
嗜銀顆粒性認知症(DG)は、連続剖検例の先行研究では、高齢者ではアルツハイマー型認知症(AD)、レビー小体型認知症についで多い変性性の認知症とされるが、病理学的概念であり、その臨床症状については不明な点が多い。しかし、DGの病理学的な病期として、迂回回ステージ(1期)、側頭葉ステージ(2期)、前頭葉ステージ(3期)と進展することが示されており、このような病変分布の解剖学的特徴から、画像診断が有力な補助診断になる可能性が考えられる。また、ADと異なり、脳内アミロイド沈着が少なく、その危険因子であるアポリポ蛋白E4の頻度が少ないとされる。また、臨床症状としては、記銘力障害または易怒性などの軽度の人格変化がおこりやすいとされる。 そこで本研究では、記憶障害または人格変化とMRIの軸位段で側頭葉内側前方(迂回回に相当)の萎縮をDGの暫定的診断基準として臨床診断を行い、Voxel-based morphometry (VBM)ソフトであるVSRAD advanceによる海馬・海馬傍回の萎縮の程度、アポリポ蛋白E4の有無を、ADと比較検討した。認知症疾患センター外来の連続例から、DG86例(平均年齢81±5.0歳)、AD81例(同79±5.5歳)を対象とした。DG群ではVSRAD advanceのZスコアは、DG群は3.76±1.07で、AD群の2.17±0.80に比べて有意に高値で、海馬・海馬傍回の萎縮がより高度であった。アポリポ蛋白E4を一つ以上もつキャリアの頻度は、DG群34%、AD群54%で、DG群はAD群より有意に低かった。DGは画像診断から臨床的にも診断可能で、この臨床診断を用いてアポリポ蛋白E4キャリアの頻度を調べても、DGはADより低いという従来の剖検例での結果を多数例で確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
側頭葉内側前方の萎縮を嗜銀顆粒性認知症の症例は予想以上に多く、とくに80歳以上の高齢者で、精神科を受診する患者では、多く2年間で100例近い症例になり、アポリポ蛋白E多型の検討に耐えるものであった。
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今後の研究の推進方策 |
脳血流SPECTによる機能画像との関係や、PiB-PETによるアミロイド沈着の有無の確認と合わせてさらに検討していく予定である。PiB-PETについては、すでにピッツバーグ大学の研究用使用の許可をとり撮影開始の準備をしている。また、以前より経過観察している症例については、病理解剖の依頼をしており、可能なかぎり剖検による確認もしてい行く予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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