研究概要 |
「環境と遺伝子の相互作用が人格形成に与える影響」 本研究は、人格形成における遺伝的要因と養育環境の相互・相関作用を検討するため、健常日本人約1,000例を対象に、人格と幼少時期に受けた養育態度をそれぞれTemperament and Character Inventory(TCI)、Parental Bonding Instrument(PBI)を用いて評価し、神経伝達物質遺伝形をPCR法を用いて同定する。得られた結果より、人格形成における遺伝的要因と養育環境の相互・相関作用を検討することを目的としている。 平成25年度は研究計画に基づき対象の募集、人格・養育環境の評価、DNA抽出、遺伝多形の同定、統計解析を行った。その結果、767例の健常日本人において、Monoamine oxidase A遺伝多型は新奇性追求に有意な主効果を与え、報酬依存における遺伝型と母親からの愛情要素の交互作用は報酬依存に有意な影響を与えていた。また、590例の健常人において、serotonin transporter遺伝形と母親からの過保護要素の交互作用が報酬依存に有意な影響を与えていた。平成26年3月これらの結果の公表の準備中である。 また、本研究の一環として行った研究において、養育環境、対人関係過敏性、社交性-自律性、認知・態度の歪みの関係を包括的に検討し、これらの結果を計3編の論文と2回の講演会にて公表した。
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