研究課題/領域番号 |
23591697
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
菊知 充 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 准教授 (00377384)
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研究分担者 |
真田 茂 金沢大学, 保健学系, 教授 (50020029)
新井田 要 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 准教授 (40293344)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 脳画像 / 小児 |
研究概要 |
これまでNIRS やMEG 単独では、脳のどこを測っているのかが分からないという問題があった。脳機能は測れるが、構造は測れないという欠点は、脳上での責任病巣を特定できないことから、臨床応用においては致命的な欠陥であった。この問題を解決する手段として、これまでは、MRI等の検査を行い、脳構造画像を補完する必要があった。これでは"幼児にやさしい"MEG 測定の簡便性を損ねてしまうため、残念ながら、小児領域での臨床応用は限られていた。これらの問題を解決するための試みは世界的にもなされておらず、MEG やNIRS 測定のみで脳の病巣部位同定を行うための方法を世界で初めて開発することが本研究の目的であった。1、第一の目標は、2~5 歳児の頭表の形状から、脳の位置と形状を確率的に算出することである。それを実現することにより、" 幼児にやさしい(外来レベルで検査可能) "検査である脳磁計(MEG)や近赤外線スペクトロスコピー(NIRS ) を、確率的な脳構造画像上で、局在性を踏まえて評価することが可能になる。H23年度は、この第一の目標を、おおむね達成した。すなわち、幼児MRI脳画像データベースから、頭部形状のもっとも近いものを抽出するアルゴリズムの最適化を検討し、さらにアフィン変換を行う手法を確立した。頭蓋内の脳の位置において、およそ2cmの誤差で測定可能であることを国際論文(NeuroReport 2012 Hayashi et al.)に発表した。さらに精度を向上させるために、解析アルゴリズムを改変し、現在特許取得にむけて取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに40例の雛形となる幼児期の脳構造情報を取得しており、個々の頭部の形状から脳の座標を予測するシステムを試作した。検証実験としては、20例の雛形を用いた場合でも座標の平均誤差は2cm以内となることを確認し、現在学術誌(NeuroReport)にて報告した。第一の目標であった、2~5 歳児の頭表の形状から、脳の位置と形状を確率的に算出することを達成した。このシステムによって、今後幼児の標準脳上での脳機能マッピングを行い、脳機能障害の局在の推定を進める基盤が整い、さらに改良を加えたアルゴリズムの策定を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
" 幼児にやさしい(外来レベルで検査可能) "検査である脳磁計(MEG)や近赤外線スペクトロスコピー(NIRS ) を、確率的な脳構造画像上で、局在性を踏まえて評価することを実施し、その臨床的有用性をアピールしていく。さらに改良を加えたアルゴリズムの策定を進めている。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究の目的を達成するためには、被験者の募集が引き続き必要であり、そのための謝金が必要になる。他に、画像データの解析を進めるためのソフトウェアが必要である。また統計処理を速やかに行うためのソフトウェアやコンピューターも必要である。当研究代表者は得られた結果を検討するために、他大学との研究会を開催するために出張したり、国内における学会参加を度行う。そのための交通宿泊代が必要である。画像解析を中心に行う研究のため、研究会のたびにカラー印刷を必要とし、文具品としてのプリンタートナーカートリッジ代が必要となる。
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