研究課題
小児に特化した我々のこれまでの研究により、脳磁計(MEG)で、幼児に対してもストレスを与えることなしに、簡単に脳機能評価を行えるようになった。しかしながら、これまでNIRSやMEG単独では、脳のどこを測っているのかが分からないという問題があった。今回、小児の確率的脳座標の作成のための基礎データ収集を行い、頭皮上の3 次元情報から、脳の位置や形状を推定するための最適なアルゴリズムを策定して。その結果は国際雑誌であるNeuroreport(2012)に掲載した。我々が作成したアルゴリズムで、実際に別に集めたMRI データで脳の構造情報を予測し、実際の脳の構造との一致具合を、脳内の7つの定点における誤差(7点の推定誤差の二乗平均平方根)を38人の既存のデータで繰り返し評価したところ、最適なプロトタイプ処理を選択した場合には18.5± 12.4mmであった。これは、無作為にプロトタイプを選択してアフィン変換した場合の推定誤差(約40㎜)と比較して、有意に改善されていた。改善されているとはいえ、この推定誤差18.5± 12.4mmという結果は、脳磁図計において、てんかんの焦点をダイポール推定するなどの臨床的場面においては、許容しがたい誤差であると考えられる。しかしながら一方で、空間フィルター法などにおいて、(生理学的にも数学的にも)空間的に広がりのある、事象関連(脱)同期現象などの情報を、群間比較するなどの脳科学の場面においては、ある程度許容できる誤差であると考えられた。現在さらに、頭皮上の空間情報を3Dスキャナーで取り込むことで、より詳細な情報を入力し、脳座標の推定精度を上げる方法を開発し、研究分担者である真田茂教授が中心となり現在特許申請中である。
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Scientific Reports
巻: 3 ページ: 1139
DOI:10.1038/srep01139.
PLoS One
巻: 8 ページ: e56087
10.1371/journal.pone.0056087.
Neuroreport.
巻: 28 ページ: 299-303
10.1097/WNR.0b013e3283511de0.