研究課題
加齢脳およびAlzheimer病(AD)脳の大脳皮質神経細胞における核酸(DNA/RNA)の酸化傷害、microRNA発現異常、およびミトコンドリアDNA傷害について、剖検脳を用いて免疫組織化学的手法ならびにin situ hybridization法によって検討した。前年度までの成果として、画像解析による半定量的検討の結果、神経細胞内のRNAの酸化傷害レベルは対照例(0.3~86歳)において加齢に伴って増加すること、および、RNA酸化傷害レベルは、認知機能障害を伴う最軽度ADでは顕著な増加が認められることが明らかになった(Nunomura A, et al. J Neuropathol Exp Neurol 71(3):233-241, 2012)。また、加齢脳における神経細胞内DNA/RNAの酸化傷害とミトコンドリアDNA傷害(共通4977塩基対ミトコンドリアDNA欠失)との間に有意な正相関(R2=0.86)が認められた。今年度の成果から、AD脳では予想外に、加齢脳で認められたような、神経細胞内DNA/RNAの酸化傷害とミトコンドリアDNA傷害との間の相関は認められなかった。他方、神経細胞内microRNA発現については、locked nucleic acid (LAN)プローブを用いたin situ hybridization法では、加齢脳およびAD脳標本において特異的な反応を検出することが困難であり、死後脳標本作製条件を最良にコントロールする必要性が示唆された。以上のことから、酸化ストレス異常とミトコンドリア異常は、AD発症後よりも発症前段階において、相乗的に発症準備状態に関与していることが推定された。microRNA異常の検討については、高度にコントロールされた死後脳処理条件が求められると考えられた。
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