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2011 年度 実施状況報告書

自閉症におけるミトコンドリア機能異常の分子機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 23591700
研究機関浜松医科大学

研究代表者

ANITHA A  浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 助教 (70377753)

研究分担者 中村 和彦  浜松医科大学, 医学部, 准教授 (80263911)
松崎 秀夫  浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 准教授 (00334970)
イスメール サンシーム  浜松医科大学, メディカルフォトニクス研究センター, 研究員 (60569846)
岩田 圭子  浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 助教 (30415088)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード自閉症 / ミトコンドリア / 酸化ストレス / 死後脳
研究概要

ミトコンドリア異常は自閉症者の5%未満に観察されており、エネルギー代謝の面から重要視されている。そのため自閉症の遺伝学的研究ではミトコンドリア遺伝子の精査がなされているが、核内遺伝子にあってミトコンドリア機能に関与するタンパク質の機能については報告がほとんどない。このため、我々は独自に保持する臨床検体を用いて核内にあるミトコンドリア関連遺伝子の解析を行った。1.死後脳を用いたミトコンドリア関連遺伝子の発現解析:我々はすでに米国Autism Tissue Projectの厳正な審査を通過し、本邦初の自閉症者の死後脳(8例)および健常対照者の死後脳(13例)を取得している。これらのサンプルを用いて84遺伝子のアレイ解析を施行した結果、Metaxin 2 (MTX2),neurofilament,light polypeptide (NEFL),solute carrier family 25 member 27 (SLC25A27)が自閉症者脳の前帯状回、皮質運動野、視床で有意な発現低下を示した。2.ミトコンドリア遺伝子の変異解析:上記の4遺伝子を疾患関連分子候補とし、これらについて患者から得られたDNAサンプルの解析を行い、健常者の遺伝子と比較して危険因子となる一塩基遺伝子多型を検索した。遺伝子サンプルは米国Autism Genetic Resource Exchange から得たコーカサス系人種のDNAトリオサンプル(854家族)および我々が収集した日本人のDNAトリオサンプル(250家族)を用いた。その結果、NEFLおよびSLC25A27がコーカサス人、および日本人の自閉症者の双方において、それぞれ特異的な相関を示した。 我々の知る限り、この経過は自閉症におけるミトコンドリア関連遺伝子を包括的に探索した初めての成果であり、現在得た内容をまとめて論文の投稿準備中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画に沿った計画が推進され、期待した結果が得られている。

今後の研究の推進方策

新たに見出されたNEFL、SLC25A27の二つについてさらなる研究を進めたい。ミトコンドリアのエネルギー産生は電子伝達系を介して行われるため、今後はこの点に注目した死後脳解析も進めたい。また、当初の予定通り、今年度は所有する遺伝子サンプルをもとに伝達不平衡テスト(Transmission Disequilibrium Test:TDT) を行い、当該遺伝子の一塩基多型と自閉症家系との相関を調べる。最終年度までには動物モデルについても検討したい。

次年度の研究費の使用計画

1.ミトコンドリア遺伝子多型の相関解析 (アニータ、中村、サンシーム) 前年度の研究成果から得られた一塩基多型、および国際 HapMap 計画データベースにあるミトコンドリア遺伝子一塩基多型について、所有する遺伝子サンプルをもとに伝達不平衡テスト(Transmission Disequilibrium Test:TDT) を行い、当該遺伝子の一塩基多型と自閉症家系との相関を調べる。 国際 HapMap 計画 (International HapMap Project ; http://hapmap.ncbi.nlm.nih.gov/) とは、ヒトゲノム計画の成果であるヒトゲノム全配列を基準として、各地域のヒト集団を対象として一塩基多型(SNP)の頻度からハプロタイプを決定し、比較を行うための標準データの作成を目指した国際計画をさす。 2.ミトコンドリア異常 (MtD) を再現したモデル動物の解析 (松崎、岩田) Calcineurinは神経細胞に存在するカルシウム依存性脱リン酸化酵素であるが、ミトコンドリアの膜内安定化やエネルギー代謝に関連する遺伝子発現の調節に関わることが明らかにされている (Liang et al, 2001; Mao and Wiedmann, 1999)。Calcineurinのトランスジェニックマウスはミトコンドリア異常を再現したモデル動物(Sayen et al, 2003)とみなされており、この動物に自閉症様の表現系が現われるかどうかをopen field test等の行動実験で検討する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Mitochondrial dysfunction in autism2011

    • 著者名/発表者名
      ANITHA A
    • 学会等名
      XIXth World Congress on Psychiatric Genetics
    • 発表場所
      Washington DC, USA
    • 年月日
      September 10-16, 2011

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公開日: 2013-07-10  

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