研究課題/領域番号 |
23591702
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
岡野 禎治 三重大学, 保健管理センター, 教授 (90169128)
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研究分担者 |
杉山 隆 愛媛大学, 医学部, 教授 (10263005)
高山 恵理奈 三重大学, 医学部附属病院, 医員 (90589847)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2017-03-31
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キーワード | 月経前気分不快障害 / 分娩 / 危険因子 / マタニティブルーズ |
研究実績の概要 |
月経前不快気分障害(以下PMDD)は米国の精神科診断基準DSM-5(2013年)では、特定不能のうつ病から、定型のうつ病の類型に正式に記載された。しかしながら、分娩とPMDDの発症の関連についての前方視的調査研究はない。そこで、分娩後の月経周期再開に伴うPMSやPMDDの発現頻度の増減を明らかにした。 方法:対象218名の中で200名の妊娠女性の社会疫学的データを追跡した。これらの女性は、妊娠期から産褥期1年目までの期間、HASD尺度(HASD-A不安尺度、HASD-Dうつ尺度)、EPDS、maternity bluesなど尺度を使用した。PMDDの評価尺度であるPSST(月経前気分不快障害尺度)を用いて、産後6カ月と産後1年後にPMDDの縦断的評価を実施した。 結果:分娩後の1年後のPMDDの有病率は7.3%(9/124名)、中等度から重度のPMSは8.1%であった。既往歴にPMDDのある女性は2名であった。PMDDの既往歴の女性では、妊娠期のHADS不安尺度、HADSうつ尺度、EPDSでは有意に(p<0.05)高い値を示した。また、この群では産後1ヵ月後に有意に(p<0.05)高い値を示した。PMSの既往歴のある女性では、産後5日目でStein のマタニティー・ブルーズ尺度とEPDSの値が有意に(p<0.05)高い値を示した。産後1ヵ月の時点のHDDSやEPDSの値では、両群の間に差異は認められなかった。 結論:産後1年後におけるPMDDの有病率は、欧米の調査研究と同等の値を示した。出産1年時のPMDDの事例の多くは、初発群であった。こうしたことから、PMDDの初発は産褥期の内分泌学的機構が関与していることを示唆する機構があると思われた。また、PMSの既往歴のある女性では、産後直後に心理的に不安定になる傾向がみられた。
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