研究課題/領域番号 |
23591704
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
柳田 寛太 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任研究員(常勤) (70467596)
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研究分担者 |
大河内 正康 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90335357)
田上 真次 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40362735)
児玉 高志 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (30512131)
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キーワード | アルツハイマー病 / アミロイド / セクレターゼ |
研究概要 |
これまでに脳内のAPLP2はβAPPと同様にβ-及びγ-セクレターゼによって切断され、35-39アミノ酸のAβ様ペプチドAPL2β35、APL2β38、APL2β39が生成する事、またAPL2β38、APL2β39は脳内でAβを分解する主要なエンドペプチダーゼであるネプリライシンで切断され、APL2β35が生成する事を明らかにした。この事からAPL2β35の産生はネプリライシンのAβ分解活性を反映するのではないかと考え、β-セクレターゼで切断されたAPLP2(APLP2 β-CTF)とswedish変異のβAPPを発現させたHEK細胞にネプリライシン遺伝子の量を変えてtransfectし、48時間後培養上清を回収してAβとAPL2βを定量した。Aβは市販のELISAキットで定量できるがAPL2βを定量する方法は無いので、LC-Msでの定量法を検討した。培養上清に安定同位体標識したAPL2β35、APL2β38、APL2β39ペプチドを混ぜ、C18逆相樹脂と陽イオン交換樹脂をピペットチップに充填した簡易カラムでAPL2βを精製し、LC-Msで分析した。定量に適した娘イオンを3種類ずつ選択し、細胞が産生したAPL2βと安定同位体標識したAPL2βの娘イオンのピーク面積比からAPL2β濃度を定量した結果、導入したネプリライシン遺伝子の量に依存してAPL2β35は増加したが、APL2β38、APL2β39 及びtotal Aβは減少していた。 脳内のネプリライシンは加齢とともに減少し、Aβの分解が低下する為にアルツハイマー病を発症するという報告がある。今回の結果から脳脊髄液中のAPL2β35はネプリライシンによるAβ分解活性を反映し、アルツハイマー病の早期診断マーカーとなる可能性が示唆された。
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