研究課題
我々は、in vivo クロスリンク法という新たな技術を用いて、アルツハイマー型認知症(AD) 発症に関わる最も重要な物質「アミロイドベータタンパク質(Aベータ)」産生に必要な最終切断酵素ガンマセクレターゼを制御する蛋白質の取得を目指し、最終的には、Aベータ産生調節を可能にし、AD発症の予防に繋げることを目的として研究を開始した。その結果、ガンマセクレターゼ構成タンパク質のプレセニリン1(PS1)あるいはaph-1抗体のいずれかの抗体によって免疫沈降されたタンパク質としていくつかのタンパク質が得られた。質量分析により、得られたタンパク質の断片配列から、既存のガンマセクレターゼ構成タンパク質であるニカストリン(NCT)、pen-2の他、機能未知のタンパク質が複数得られた。これらの内、PS1、aph-1のいずれの抗体からも免疫沈降されたタンパク質としてGLが得られた。そこで、GLの予測配列をゲノム上から類推し、特異的抗体を作成し、各種細胞を用いた機能解析を行った。その結果、GLは、大きく4種類のアイソフォームを持ち、そのうち、291アミノ酸、342アミノ酸のアイソフォームがほとんどの細胞に発現していること、強制発現によりガンマセクレターゼ構成タンパク質PS1、NCT、aph-1、pen-2のいずれとも免疫沈降により結合が確認されたこと、しかしながら、内因性のレベルでは、PS1との結合のみ確認されたこと、その局在は、細胞質に豊富に存在するが、特にミトコンドリアに豊富に存在すること、更に、siRNAによってGLの発現を抑制するとAベータ産生量が、通常レベルの50%近くまで減少することを明らかにした。最終年度のH26年度は、前年度までに明らかにした機能未知の蛋白質GLの機能解析を引き続き行い、GLが、ミトコンドリアの分裂ファクターであることを突き止めた。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
Molecular Autism
巻: 5(33) ページ: 2040-2392
10.1186/2040-2392-5-33
PLoS One
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10.1371/journal.pone.0097918