研究課題/領域番号 |
23591706
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森原 剛史 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90403196)
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研究分担者 |
田中 稔久 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10294068)
武田 雅俊 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00179649)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | アルツハイマー病 / リスク遺伝子 / アミロイドベータ / モデル動物 / トランスクリプトミクス / マイクロアレイ |
研究概要 |
我々はすでに極めて有力な候補遺伝子kinesin light chain 1 (Klc1)をモデル動物とtranscriptomicsの組み合わせというユニークな戦略により同定している。その候補遺伝子としての確実性を多角的に検証し、またそのメカニズムも探索するのが本研究の目的である。23年度は発現アレイ解析で得られた結果をもとにKlc1の各種スプライシングヴァリアント特異的な定量的PCRアッセイ系(real-time QPCR)を構築した。アレイ解析に用いた動物に加え、合計58匹に増やした背景遺伝子を混合させたAPP Tgマウスを用いて、Klc1 splice variant Eの発現量と脳内Aβ蓄積量が相関していることを確認した(R2=0.33, p<0.0001)。Aβ蓄積のないインブレッドマウスにおいてもDBAが他の2つストレイン(SJL-38.0% Tukey-Kramer HSD test p=0.0006)とB6(-48.8% Tukey-Kramer HSD test p<0.0001)よりもKlc1 splice variant Eの発現が低いことがQPCRで確認した。一方、Klc1の全体量はAβ量との相関も、ストレイン間の発現差もみられなかった。ヒト検体を用いた検討では約800名のDNA検体を用いたゲノム解析ではアルツハイマー病とKLC1の関連を認めなかった。剖検脳(n=24)を用いたtranscript解析ではKLC1全体量は変化ないが、KLC1 splice variant Eがアルツハイマー病で高値(+30.7%, p=0.0096 Student’s t-test)であった。この結果はモデル動でみられた結果と一致する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Transcriptomics解析結果がQPCRで確認できた。スクリーニングでもちいたselection criteriaはfalse discovery rate=0.001など極めて厳しいものを用いている。QPCRの確認実験でもBonferroni’s correctionなど厳しい多重検定を用いている。異なる測定方法と厳しい検定でもKlc1がアミロイド病理に関与していることが強く支持された。一般に行われている他のomics研究よりも、本研究の候補遺伝子は信頼性はかなり高いと考える。さらにはヒトtranscript解析においてもKLC1 splice variant Eのアルツハイマー病への関与が示唆された。このようにmouse-to-human translational approachも期待が持てる状況である。以上のようにおおむね順調に研究は進捗しているし、今後の発展が期待できる状況である。
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今後の研究の推進方策 |
信頼性の高い研究がしやすいモデル動物を研究の出発点としているが、最優目標はヒトのアルツハイマー病である。今後はこれまでえられた信頼性の高いデータをもとにmouse-to-human translational approachを強化していく。ヒト研究に加え、もう一つの研究の柱はKLC1の機能解析になる。Conventionalなgenomicsに比べ、我々の行っているtranscriptomicsは発現差が病態に含まれていることが最初から分かっているという利点がある。機能解析は簡単な仕事ではないが、この利点を十分生かしながら研究を展開する。
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次年度の研究費の使用計画 |
Mouse-to-human translationゲノム解析は大阪大学の約800検体に加え、九州大学と横浜理研が行っているアルツハイマーリスク遺伝子研究検体でも検討を行う。またヒトtranscript解析として末梢リンパ球も対象としてKLC1 splice variant Eなどの発現パターンを検討する。KLC1機能解析KLC1の重要なスプライシングバリアントについてアルツハイマー病理におけるメカニズムを探る。培養細胞にKLC1バリアントを発現、または特異的アンチセンスでバリアントのみの発現を抑制する。KLC1はAPP輸送に関与している可能性が示唆されているためAβ産生(メディウム中のAβをELISAで測定)およびAPPの細胞内局在(免疫染色)の変化を検討する。
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