研究課題/領域番号 |
23591707
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研究機関 | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
中込 和幸 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 臨床研究支援部, 部長 (30198056)
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研究分担者 |
最上 多美子 鳥取大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80368414)
兼子 幸一 鳥取大学, 医学部, 教授 (50194907)
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キーワード | 認知矯正療法 / 多施設共同臨床試験 / 無作為化対照比較試験 / 統合失調症 / 認知機能障害 |
研究概要 |
昨年度の研究代表者の転勤後、前任地である鳥取大学では、引き続き研究分担者である兼子 と最上が認知矯正療法の一技法であるNEAR(Neuropsychological and Educational Approach to Cognitive Remediation)を用いたRCTを進行中であるが、データ集積ははかどらなかった。新任地である国立精神・神経医療研究センターでは、ようやく認知矯正療法を実施する部屋(ラーニングルーム)の整備およびプログラムに用いられるソフトウェアの整備を終え、治療スタッフ4名も統合失調症の認知機能障害への理解を深め、患者6名を対象に実践訓練を終えた時点である。5名のうち、2名は出席率が低 く、1名は症状悪化のため中途で脱落、他3名は6か月のセッションを完了し、いずれもBACS(Brief Assessment of Cognition in Schizophrenia)の総合総計 点は改善を示した。 また、治療プログラムに用いられるソフトウェアが次々と製造中止に追い込まれている現状を考慮し、Happy Neuron社とコンタクトをとり、同社が運営しているWeb版の認知矯正療法用のソフトウェアの日本語版の作成を開始し、現在進行中である。 そのほか、普及のためのワークショップ(7回目、2012年11月23-25日)を東京会場(13名)と鳥取会場(18名)をテレカンファレンスシステムでつないで実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の転勤によって、研究体制の変更を余儀なくされ、新任地で改めて認知矯正療法のトレーニングをスタッフに施す必要性に迫られたため、RCTの開始が遅れることとなった。また、前任地でも研究代表者がいなくなったということも影響し、データ集積が進まず、予定より進行が遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
国立精神・神経医療研究センターでは、すでに治療スタッフのトレーニングも完了し、RCTを開始できるレベルにまで進んでいると考え られる。すでに、当センターの倫理委員会からも承認を受けている。したがって、医局内および近隣の医療連携施設にも呼びかけて、患者登録を積極的に進める予定である。また、単施設ではサンプル集積に難があるため、これまで鳥取大学を中心に実施してきたNEAR(Neuropsychological Educational Approach to Cognitive Remediation)のワークショップに参加し、一定基準をクリアし(試験に合格)、実施経験の豊富な施設に研究参加を呼びかけ、多施設共同臨床試験の体制を作り上げる。これまでのところ(2012年3月現在)、さわ病院(25名)、京都府立洛南病院(19名)、山梨県立北病院(11名)が比較的経験を多く持ち、その他にも数名の経験を持つ施設が増えている。さらに、一般病院では慣れないRCTが研究推進の妨害要因となっていることを考慮し、ウェイティングリストを活用する方法について、各施設に説明し、協力を得る努力をする。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は、多施設による打ち合わせ、被験者への謝金および参加施設での研究実施の支援(ソフトウェア、フィデリティのチェックなど)に費やされる予定である。
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