研究課題/領域番号 |
23591709
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
住谷 さつき 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (90346594)
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研究分担者 |
原田 雅史 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20228654)
友竹 正人 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50294682)
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キーワード | 強迫性障害 / 認知機能 / MRS / NIRS / Stroop Test / グルタミン酸 / GABA / 脳血流 |
研究概要 |
強迫性障害(obsessive-compulsive disorder; OCD)患者の薬物応答性は個人差が大きいが、それをあらかじめ予測するための生物学的客観指標は確立されていないのが現状である。この研究は認知機能検査と二種類の機能画像を用いてOCD患者の薬物応答性予測の可能性を模索することを目的とする。この研究ではこれまでの機能画像研究で得られたOCD関与している脳部位が前頭葉と基底核であるという仮説を前提に二種類の機能画像、多チャンネル近赤外線スペクトロスコピー(near-infrared spectroscopy;NIRS)と1H-MRS(proton magnetic resonance spectroscopy)とを組み合わせた研究を行っている。前頭葉に関してはStroop検査などの前頭葉機能を反映する認知機能検査試行中のOCD患者と健常者の前頭葉の血行動態を多チャンネルNIRSを用いて測定しその差異を検討した。今後はさらに症例数を増やし、個々の症例の薬物応答性や他の臨床データ、課題成績との照合を行ってゆく予定である。また、基底核の機能異常に関してはこれまで蓄積してきた高磁場MR装置を用いた70例のOCD患者の1H-MRSデータを解析して、薬物応答性や臨床データとの関連を検索中である。1H-MRSの撮像方法は基底核と帯状回を関心領域とし、通常のSTEAM法を用いた脳内代謝物質の定量に加えて、MEGA-PRESS法を用いてグルタミンとグルタミン酸を分離して定量しGABAの定量も行っている。また、1H-MRS研究と並行して撮像したOCD患者のMRIデータは、VBM解析を行い国際学会で発表した。さらに今後は1H-MRS やNIRSのデータとの照合を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多チャンネルNIRSと1H-MRSのデータは個々の患者の薬物応答性や臨床特徴のデータと照合できている。薬物応答性により患者を分類して群間の比較解析を行うと同時にさらに詳細な臨床データを加味して解析をする段階になる。
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今後の研究の推進方策 |
1H-MRSに見合うだけのNIRSデータを増やし、二種類の画像データと治療反応性や認知機能との関連を調べる。前頭葉と基底核の異常と薬物応答性や臨床特徴がどのように関連しているかを解析し、薬物応答性予測に関する機能画像の中間表現型としての意義を見出してゆきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費と729,651円の繰越金は、画像解析ソフトと統計解析ソフトの購入および研究補助謝金に使用する予定である。
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