研究課題
強迫性障害(obsessive-compulsive disorder; OCD)は、表現型や治療反応性が多様であり異種性のある疾患であることが推定されている。OCDの薬物治療には一般的に選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonine reuptake inhibitor; SSRI)が用いられるが、SSRIに反応が見られるのはOCDの約50~70%であり、SSRIに反応が見られなくても非定型抗精神病薬の付加により劇的な改善がみられることもある。我々は生物学的客観指標からOCD患者の治療反応性をあらかじめ予測することを目的として、前頭葉機能を反映する認知機能検査と2種類の機能画像、(proton magnetic resonance spectroscopy;1H-MRS)と多チャンネル近赤外線スペクトロスコピー(near-infrared spectroscopy;NIRS))を用いてOCDの個別的治療戦略の指標を作るための研究を行った。先行研究では、OCDの脳内責任部位として前頭葉と基底核を結ぶ神経回路の異常が想定されている。この研究では、Stroop検査、語流暢性検査(verbal fluency test;VFT)などの前頭葉機能を反映する認知機能検査試行中のOCD患者と健常者の前頭葉の血行動態を多チャンネルNIRSを用いて測定しその差異を検討した。これまでに30例のOCD患者のStroop検査とVFT試行中のNIRSの撮像を行い、認知機能検査の成績と血流について解析を行っている。また、基底核の機能異常に関しては3Teslaの高磁場MR装置を用いた70例のOCD患者の1H-MRSデータを解析して、薬物応答性や臨床データとの関連を解析している。1H-MRSは通常のSTEAM法を用いた脳内代謝物質の定量に加えて、MEGA-PRESS法を用いてGABAの定量も行った。OCDの薬物応答性と臨床特徴について、および1H-MRS研究と並行して撮像したOCD患者のMRIデータはすでに国際学会で発表した。今後は1H-MRS やNIRSのデータをまとめて学会発表、論文化する予定である。
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