研究課題
認知症専門外来を受診したアルツハイマー型認知症23例を対象に、神経心理学的検査、ビタミンB1、B12、葉酸を測定し、作話、取り繕い、家人の方を振り返るhead turningとの関連について検討した.作話は14例で認められた。MMSE総点はあり群20.9、なし群21.6と差は見られなかったが、遅延再生においてはあり群1.3、なし群0.6であり、近時記憶障害との関連か示唆された。一方、B1、B12、葉酸は、あり群で39.5、448、11.5に対し、なし群31、378、7.2とあり群の方が低い傾向を認めた。うつを評価するGDSにおいては、それぞれ6.1、4.2で抑うつ傾向は作話あり群の方で高い傾向にあった。取り繕いにおいては、あり群(13例)のMMSE総点及び遅延再生は21.5、1.1。なし群では20.6、0.5と作話と同様、近時記憶障害との関連か示唆された。一方、B1、B12、葉酸は、あり群で40.8、442、6.6に対し、なし群33.7、409、11.5であり、取り繕いあり群では正常値ではあるものの葉酸値がみられた。GDSは作話と同様、取り繕いなし群の方で高い傾向がみられた。Head turningに関しては、MMSE及び遅延再生においてあり群(10例)において作話、取り繕いと同様な傾向を認めたが、B1、B12、葉酸値は、なし群と差を認めなかった。Head turningにおいては、問いかけに対して困窮したり、確認の意味で家人を振り返るものと、家人の発言に対しいて否定する意味で振り返る質の異なるものが混在するものがみられ、今後それを区別して検討する必要があると考えられた.今回、経過中に作話が出現したものを3例認めた。MMSE総点との変化とは関連なく、遅延再生が行えなかった1例を除き、得点の低下を認め、GDSも下がっていた。また、3例中2例までは初診時のB12が低値であった。
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