研究課題
【H25年度および期間全体の研究成果の内容】H26年3月時点の実験参加者は初発統合失調症患者(FES)群10人(全員右利き,女性5人,男性5人,平均年齢27.9(15~45)歳),慢性期統合失調症(ChS)群12人(全員右利き,女性6人,男性6人,平均年齢44.4(25~60)歳),健常(NC)群16人(全員右利き,女性11人,男性5人,平均年齢28.6(21~47)歳)<行動指標結果>質問紙の正答率:FES群:90%,ChS群:79.8%,NC群:95.4%.ボタン押しの正答率と反応時間:FES群94.9%,464ms,ChS群:96.1%,482.1ms,NC群:98.2%,455.7ms.各群の人数,年齢,性などが統制されていないので検定は行っていないが,標的刺激に対するボタン押しの反応はChS群はNC群より正答率が低く,反応に時間がかかった。<脳磁図解析結果>3群とも後頭部に限局して誘発反応を認めた。全被験者において刺激呈示後100~200msの間で逸脱刺激に対する反応の方が標準刺激に対する反応よりも大きく,脳波を利用した先行研究の結果からvMMF成分と同定した。vMMFはChS群では減衰傾向であったが,FES群ではNC群とほぼ同様の振幅を示した。成果の一部は,国際学会,学術論文等で発表した。【研究成果の意義】ChS群はNC群よりも行動パフォーマンスが劣り,vMMFも減衰していた。FESではvMMFに反映される視覚情報自動処理過程は統合失調症が進行する過程で障害される可能性が示唆された。【研究成果の重要性】vMMFを計測して統合失調症の視覚情報自動処理過程の異常の有無を検討し,病期の進行に従ってvMMFの減衰傾向を認めた。vMMFは統合失調症のバイオマーカーとなる可能性が示唆された。
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