研究課題/領域番号 |
23591714
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
光安 博志 九州大学, 大学病院, 助教 (00533176)
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研究分担者 |
川嵜 弘詔 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50224762)
光安 岳志 九州大学, 大学病院, 助教 (00380519)
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キーワード | リエゾン精神医学 / せん妄 / 癌 / 手術 |
研究概要 |
今年度の研究参加者は計26名(男性15名,女性11名)であった.以下前年度の対象者を含めて集計した途中結果を記載する. (1)前年度の研究参加者と合わせると,計34名(男性20名,女性14名)となり,男女比はおよそ,3:2であった.平均年齢は64.6±12.2歳であり,男性(61.2±9.6歳)のほうが,女性(64.6±12.2歳)よりも年齢が低い傾向がみられた.(2)術後のせん妄が発症した対象者は,4名(男性2名,女性2名)であった.(3)心理検査(HADS,HDS-R)の結果とせん妄発症の関連性:HADSの平均点は,せん妄なし群(8.13)に比べるせん妄あり群(10.75)は高い点数であったが,統計的には有意差は見られなかった.HDS-Rは,1名が22点と低いが,残りは25点以上であり認知機能には問題が見られなかった.(4)手術前の臨床情報に関しては,術前の睡眠導入剤の使用がある群では,未使用の群に比べて,せん妄発症者の割合が多かった(21.4% 対 5.9%).(5)手術情報に関しては,手術時間が10時間未満の群(13名)ではせん妄発症はいなかったが,10時間以上の群(20名)ではせん妄発症者は20%を占めた.ICU入室日数では,0日の群(18名)ではせん妄はいなかった.入室1日の群(12名)では25%,2日の群(3名)では33.3%を占めた.(6)生物学的指標候補の検査:対象者から採血した血清中のTNF-α,IL-1β,IL-6,およびS100B蛋白を測定した.せん妄発症群ではTNF-αが高値の傾向がみられた.せん妄発症の有無に関わらず,IL-6は術後に高値になる傾向があった.CRPは参加者全体で,術後に高値になる傾向があり,特にせん妄発症群ではより高い値がみられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究参加者の臨床および血液データの収集については,計画通りに進んでいるといえる.ただし,研究対象となる候補者,すなわち口腔癌の手術予定の患者さんが想定よりも数が増えていない状況にあるが,これに関しては,コントロールできない部分である.候補者のほとんどの方は研究に対しては協力的である.
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者(精神科神経科)と研究分担者(精神科神経科,顎口腔外科)および顎口腔外科の病棟看護部との共同・連携システムが順調に動いているため、次年度も引き続き研究参加者の人数を増やして、データを蓄積していくことは十分に可能であると考えられるので,これを最優先の目標とする。次年度の後半以降には,研究期間全体のデータを集計して,統計学的解析を実施する.その結果を学会等で発表する.
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次年度の研究費の使用計画 |
翌年度に請求する研究費と合わせて,物品費としては、統計解析用ソフトウェア,採血管、プリンタインク、他消耗品などの購入で、300,000円の使用を計画している。旅費としては、おもに学会参加などで、400,000円を使用予定である。人件費・謝金は使用の計画はない。その他の使用としては、生物学的指標の候補の測定の検査委託のために、1,000,000円(30名分)の使用を予定している。
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