研究課題/領域番号 |
23591717
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
橋本 衛 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (20452881)
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研究分担者 |
池田 学 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (60284395)
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キーワード | DLB |
研究概要 |
本研究は、レビー小体型認知症(DLB)の認知機能、神経所見、精神症状、画像検査所見、心理検査所見、介護負担の長期経過を包括的に調査することを目的とする。本研究によって明らかにされたDLBの経過や予後についての知見は、適切な治療やケアの開発に重要な基礎資料となる。平成24年度はこの目的に対して下記の成果をあげた。 1.2010年1月から2011年10月の期間に、熊本大学医学部附属病院神経精神科を含む国内8か所の認知症専門医療機関を初診したDLB患者97例とアルツハイマー病(AD)患者393例を対象に、認知症重症度と精神症状・行動障害(BPSD)との関連を検討した。ADでは認知症が重度になるにつれてBPSDが着実に悪化するのに対して、DLBでは病初期から激しいBPSDを認める一方で、認知症が重度になってもBPSDの程度はほとんど変化しないことが示された。この結果は、DLBでは病初期から積極的なBPSD対応が必要となることを示しており、DLBに対する適切な治療やケアを実施するために重要な知見と考えられた。この知見を、第13回アルツハイマー病研究会で報告した。 2.DLB患者では高率にレム睡眠行動障害(RBD)を伴うことが知られているが、RBDの症状の一つである寝言が、DLBとADの鑑別診断に有用であることを実証した。本知見は、DLBの臨床診断に極めて有用であると考えられた。 3.認知症患者における嫉妬妄想の特徴を検討し、DLBではADよりも嫉妬妄想の頻度が有意に高いことを示し、第17回日本神経精神医学会に報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DLBの重症度とBPSDとの関連性を検討した横断研究については、論文化し海外雑誌に投稿中である。 縦断研究については、平成24年度の新規患者の登録数は6例であった。現在のエントリー患者数は18例であり、当初の目標である20例をほぼ達成したため新規エントリーは終了した。
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今後の研究の推進方策 |
縦断研究は引き続きデータ収集を継続する。受診中断者に対して家庭や施設への訪問調査を実施する。さらにMRIやSPECTなどの画像研究データの解析をH25年度より開始する。 H24年度に学会報告したDLBと嫉妬妄想との関連性について論文化し、海外雑誌に投稿する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度から訪問調査を開始し、当該研究費をその予算に充てる。 画像解析を開始する予定であり、統計解析ソフトを購入する。 研究内容の論文化に際して、英語添削費用に当該予算の一部を充てる。
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