研究課題
本研究ではレビー小体型認知症(DLB)患者の認知機能、神経所見、精神症状、画像検査所見、心理検査所見、介護負担の長期経過を包括的に調査することを目的とする。本研究によって明らかにされたDLBの経過や予後についての知見は、今後DLBの適切な治療やケアの開発に役立つ重要な基礎資料となる。平成26年度はこの目的に対して下記の成果を上げた。1.DLB患者16名(男女それぞれ8名、全例コリンエステラーゼ阻害薬を内服)を2年間フォローし、認知機能障害(MMSEで評価)と精神症状・行動障害(BPSD)(NPIで評価)の経過を観察した。MMSEは、1年後は初年度と変わらず維持されていたが、2年後には有意に低下した、一方精神症状は、1年後は初年度よりも軽快していたが、2年後には初年度と同程度に悪化した。この結果から、DLBに対する薬剤の効果は2年間維持しない可能性が示唆された。この内容を、第29回日本老年精神医学会総会シンポジウムで発表した。2.「DLBではアルツハイマー病(AD)よりも嫉妬妄想の頻度が高く、難治性となりやすいこと」、「DLBの嫉妬妄想は幻視や他の妄想と密接なつながりがあること」を明らかにした。この内容を海外雑誌に投稿し受理された。3.DLB患者97例とAD患者393例を対象に、認知症重症度と精神症状・行動障害(BPSD)との関連を検討した。その結果、ADでは認知症が重度になるにつれてBPSDが着実に悪化するのに対して、DLBでは病初期から激しいBPSDを認める一方で、認知症が重度になってもBPSDの程度はほとんど変化しないことが示された。この結果は、DLBでは病初期から積極的なBPSD対応が必要となることを示しており、DLBに対する適切な治療やケアを実施するために重要な知見と考えられた。この内容を海外雑誌に投稿し受理された。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件)
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