研究課題
前頭側頭葉変性症(FTLD)の臨床的サブタイプである意味性認知症(SD)は、側頭葉前方部を中心とした限局性萎縮を示し、特徴的な言語の症状を呈する疾患である。SDでは進行とともに、嗜好や食欲の変化などの食行動異常が前頭側頭型認知症(FTD)同様、高頻度に出現する。これらの食行動異常に関わる神経基盤は、近年の画像研究により、FTLDにおいては前頭葉眼窩面から島回を巡る神経回路の障害との関わりが想定されているが、SDに限った報告はほとんどない。加えて、食行動異常は多彩であり各々の症状に対して個別の神経基盤が存在する可能性も高い。そこで今回はSDに着目し、「食行動評価尺度」(Ikeda M et al. 2002)を用いて食行動異常を症状ごとにわけて評価し、各々の食行動異常に関わる神経基盤を検討した。対象は、2008年3月から13年12月までに当科専門外来を受診した連続例のうち、SDの国際診断基準を満たした19名である。対象の平均年齢は69.1歳、平均罹病期間は3.7年、平均MMSE得点は13.5点であった。局所脳血流(rCBF)の評価:rCBFはregion of interest(ROI)法を用いて評価した。DICOM viewerである OsiriX上で、各被験者のMRIとSPECTの融合画像を作成し、MRIによる解剖学的な情報を参考にしながらROIをマニュアルで設定した。ROIは下記の26カ所に設定した。今回のROIを用いた検討では、「嚥下に関する障害」と、「食欲亢進」は右前頭葉の血流低下と関連し、「食物の好みの変化」は右側頭葉底面と左側頭葉外側部の血流低下と関連、「食習慣の変化」は、左前頭葉の血流低下と関連した。「他の関連する症状」では、右側頭葉底面と右側頭葉内側の血流低下と関連した。今後食行動異常をさらに要素的に分析し、局所脳機能との関連を検討する必要がある。
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