研究課題/領域番号 |
23591728
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
八田 耕太郎 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90337915)
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研究分担者 |
岸 泰宏 日本医科大学, 医学部, 准教授 (60256930)
上條 吉人 北里大学, 医学部, 講師 (90255266)
杉田 学 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20322414)
竹内 崇 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70345289)
臼井 千恵 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70453587)
小田原 俊成 横浜市立大学, 大学病院, 准教授 (00244426)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | せん妄 / インターロイキン1β / ナチュラルキラー細胞 / ラメルテオン / ランダム化臨床試験 |
研究概要 |
1.目的:神経内分泌免疫系機能とせん妄発症との関連性を示唆する先行研究から、IL-1βおよびNK活性の変化はせん妄発生の予測指標となるか、およびramelteonはせん妄予防効果をもつかについて検証した。2.方法:平成23年7月~24年6月の12ヶ月間(本報告は24年1月末日登録症例までの中間解析である)、多施設共同研究グループを組織し、救急入院する患者を対象とした。患者登録時にramelteonあるいは乳糖にランダム割付し、その後のせん妄発生の有無を評価するとともに,入院後最短の早朝およびその翌朝のIL-1β、NK活性を測定した。研究計画については順天堂大学医学部附属練馬病院倫理審査委員会および各共同研究施設の倫理委員会の承認を得、予めインフォームド・コンセントを得て実施した。3.結果:(1) ramelteonに割付けられた11例にせん妄は発生しなかったが、乳糖群では11例中4例にせん妄が発生した(0% vs. 36%, p=0.09)。(2) せん妄発生群と非発生群との間の入院当初のNK活性の推移の差異を見出すには、まだ症例数が不足している(5.3+4.0% vs. -2.5+9.8%, p=0.20)。4.考察:本ランダム化比較試験において、現時点では傾向の水準にとどまるが、設定した統計学的パワーに達する症例数に至れば、ramelteonのせん妄予防効果が実証される可能性が高い。同様に統計学的パワーに達する症例数に至れば、入院当初のNK活性の推移からせん妄発生を予測できる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床研究の実施が困難な救急医療の現場で、8つの大学病院等の多施設共同ランダム化臨床試験を開始することができた点は順調である。登録症例数が見込みよりやや下回っていることが、極めて順調とまで評価できない点である。
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今後の研究の推進方策 |
予定どおり、構築したせん妄の多施設共同研究グループ(DELIRIA-J)で、引き続き予防研究の登録症例を統計学的パワーに達するまで増やし、次に、治療のランダム化臨床試験に移る。同時に、医療安全の視点からの抗精神病薬に関するせん妄治療の観察研究も進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定どおり、多施設共同ランダム化臨床試験に関する人件費・謝金、IL-1βおよびNK活性の測定費用、国際学会発表の旅費への使用を計画している。
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