研究分担者 |
岸 泰宏 日本医科大学, 医学部, 准教授 (60256930)
小田原 俊成 横浜市立大学, 大学病院, 准教授 (00244426)
竹内 崇 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (70345289)
杉田 学 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20322414)
臼井 千恵 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70453587)
上條 吉人 北里大学, 医学部, 講師 (90255266)
町田 裕 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90317470)
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研究実績の概要 |
目的:睡眠覚醒リズムに関与するmelatonin agonistのramelteonはせん妄予防効果をもつか、せん妄発症と炎症機序の関連性からNK活性の変化はせん妄発生の予測指標となるか、せん妄に対する抗精神病薬投与は重篤な副作用を惹起するか、治療薬推奨について検証した。 方法:多施設共同で、救急入院する患者を対象にramelteonまたは乳糖にランダム割付し、その後のせん妄発生の有無を評価するとともに,入院後最短の早朝およびその翌朝のIL-1β、NK活性を測定した。34の総合病院でせん妄に対して抗精神病薬投与する症例を1年間蓄積した。研究計画は順天堂大学医学部附属練馬病院および各共同研究施設の倫理委員会の承認を得、informed consentを得て実施した。専門医にせん妄治療薬推奨のコンジョイント分析を実施した。 結果と意義:1)せん妄発生は乳糖群32%(11/34)、ramelteon群3%(1/33)のみで(P=0.0028)、RCTにおいて国際的に初めてramelteonのせん妄予防効果を実証した。成果はJAMA Psychiatryに掲載され、Editorialにてせん妄臨床を治療から予防にシフトさせると評価された。 2)せん妄発生群は非発生群と比較して入院当初のNK活性が有意に増加(5.6% [SD 8.0] vs. -1.1 [8.0], P=0.019)して陰性尤度比は0.16、入院時のDRS-R98の評点を組み合わせると陽性尤度比は7.8になり、せん妄予測バイオマーカーとしての有用性を示した。 3) 2,453例のうち重篤な有害事象は22例(0.9%、うち嚥下性肺炎17例)で、それによる死亡例はなかった。平均CGI-Iは2.02 (SD 1.09)で54%が1週間以内に収束し、抗精神病薬の効果は明瞭であった。医学的管理下での抗精神病薬の安全性と効果を大規模な前向き観察研究で実証した。 4)過活動型/混合型せん妄に50%以上の専門医はrisperidoneを、非糖尿病ではquetiapineを第1選択薬として推奨した。
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