研究課題/領域番号 |
23591734
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
小路 純央 久留米大学, 医学部, 講師 (50343695)
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研究分担者 |
森田 喜一郎 久留米大学, 高次脳疾患研究所, 教授 (20140642)
柳本 寛子 久留米大学, 医学部, 助教 (00441676)
内村 直尚 久留米大学, 医学部, 教授 (10248411)
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キーワード | うつ病 / 復職支援プログラム / 近赤外線スペクトロスコピー / デイケア / 認知機能 |
研究概要 |
うつ病患者22名(男性:8名、女性:14名、平均年齢:35.1±12.6歳)に対して、心理教育、認知行動療法、クラフト作業、軽スポーツを組み合わせた復職支援プログラムを、週2回、3ヶ月を1クールとして実施した。評価は主にBeck’s Depression Inventory-second Ed. (BDI-II)、Zung-Self-rating Depression Scale(SDS)、Hamilton-Rating Scale for Depression、Social Adaptation Self-evaluation Scale (SASS-J)に加え、今回新たに多チャネル近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)を用い、単一言語誘発課題として、「(通常)しりとり課題」「生物(限定)しりとり課題」及び「言語産生課題」における酸素化ヘモグロビン濃度変動[Oxy-Hb]計測を、プログラム前後に行い、これらプログラムの活用と心理検査、さらには精神生理学的手法による客観的評価としての有用性について検討した。研究に先立ち本研究の趣旨を口頭及び文章にて十分説明し同意を得た後に行った。久留米大学倫理委員会の承認を得ている。 プログラム施行後、BDI-II、SDS、HAM-Dの改善を認めた。復職群11名・非復職群11名で比較検討すると、復職群で有意なSASSの改善を認めた。うつ病患者の職場復帰に際しては、症状の改善を評価するだけでなく、社会適応能力を含めた評価が必要であることが示唆された。さらにNIRS計測より、健常群に比較して、うつ病群では[Oxy-Hb]の変動が少なかった。うつ病群ではプログラム前後で「生物しりとり」「言語産生課題」で増大した。左右前頭前野領域では「生物しりとり課題」で、[Oxy-Hb]の有意な増大が認められた。前頭前野、側頭領域において、HAM-Dと[Oxy-Hb]に有意な負の相関が認められた。以上よりNIRS計測は、復職判定の補助として活用され、有意な精神生理学的指標になることが示唆された。
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