研究課題/領域番号 |
23591738
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
飛鳥井 望 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, プロジェクトリーダー (30250210)
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キーワード | 外傷性悲嘆 / 認知行動療法 / 暴力的死別 / 外傷後ストレス障害 |
研究概要 |
「外傷性悲嘆治療プログラム」とは、事故・事件被害者遺族及び自死遺族を対象として、外傷性悲嘆(PTSDを伴う複雑性悲嘆)に焦点を当てた認知行動療法である。プログラムは1回60~90分、約15回の個別面接であり、「心理教育」、「回避対象への段階的接近練習」、「死別体験記憶の反復想起と陳述」、「故人の思い出の振り返り」、「故人との想像上の対話」の各技法から構成される。 本年度は、全国からランダムサンプリングした18歳以上の成人を対象とした外傷的死別と複雑性悲嘆に関する横断調査の結果を国際専門学術誌に発表した。成人人口の5.5%が外傷的死別を体験しており、1.5%が複雑性悲嘆の状態にあることを明らかにした。 また子どもの外傷性悲嘆の認知行動療法プログラムであるCBT-CGの研修を、米国CARES Institute(Dr. Deblinger)及びAllegheny General Hospital(Dr. Cohen, Dr. Mannarino)において修了した。また共同研究者との事例検討会を2回実施した。 前年度プログラム導入した4例(交通事故2例、他の事故1例、自死1例の遺族)は、研究代表者がビデオ等でのスーパービジョンを行い、すべて治療終結した。本年度はさらに新規3例(交通事故1例、自死2例)のプログラム導入とスーパービジョンを開始した。うち1例では、米国で指導を受けた子どもの外傷性悲嘆プログラムを導入している。本年度も継続して症例を蓄積しながら、引き続きプログラム内容の調整を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
外傷性悲嘆治療プログラムの技法内容についてはおおむね完成することができた。またスーパービジョンを行うことで、治療者を育成し、治療効果を得られることがあきらかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、研究代表者の個別スーパービジョンの下で、外傷性悲嘆治療プログラム実施症例の蓄積を行い、プログラム実施前後での症状評価を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費使用計画は以下の通りである。賃金40万円;謝金10万円;旅費50万円;図書0万円;消耗品10万円(未入力)
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