研究課題/領域番号 |
23591739
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研究機関 | 公益財団法人神経研究所 |
研究代表者 |
林田 健一 公益財団法人神経研究所, 研究部, 研究員 (30338933)
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研究分担者 |
尾崎 章子 東邦大学, 看護学部, 教授 (30305429)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ナルコレプシー / 過眠症 / 睡眠学 / 睡眠障害 |
研究概要 |
H23年度は、カタプレキシーを伴うナルコレプシー(NA-CA)における睡眠中の周期性四肢運動(PLMS)の発現頻度について、カタプレキシーを伴わないナルコレプシー(NA w/o CA)、長時間睡眠を伴わない特発性過眠症(IHS)と比較し、過眠症状への影響を検討した。またNAに合併するPLMSと特発性の周期性四肢運動障害(PLMD)を比較し、その臨床的意義について検討した。 <方法>代々木睡眠クリニック(現医療法人社団絹和会睡眠総合ケアクリニック代々木)にて終夜ポリソムノグラフィー(PSG)と反復睡眠潜時検査(MSLT)を施行した40歳未満のNA-CA群22例、NA w/o CA群25例、IHS群32例を対象とした。睡眠構築、PLMS指数、MSLTにおける平均入眠潜時(SL)、Epworth sleepiness scale (ESS)得点を、3群間で比較した。また、PLMSを伴うNA-CA群と、年齢をマッチさせたPLMD群について、上記指標を比較した。<結果>PLMS指数15以上の割合は、NA-CA群5例(22.7%)、NA w/o CA群1例(4%)、IHS群1例(3.1%)であった。NA-CA群においてPLMSを伴う群では、PSGの覚醒反応、睡眠段階1の割合が高く、REM睡眠の割合が低かった。しかしSL,ESSに差異はなかった。PLMD群との比較では、NA-CA群ではPLM指数は低いが、PLMに関連した覚醒反応の出現割合、睡眠段階1、睡眠段階2の割合が高かった。<考察>PLMSの出現頻度は、NA-CA群で特徴的に高い可能性が示唆された。PLMSを伴うNA群では睡眠の浅化が特徴的であり、PLMSに伴う易覚醒性は、PLMDより高い傾向を認めた。しかしPLMDに比較してPLM指数は低く、PLMSによる過眠症状重症化の可能性は乏しいと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ナルコレプシー患者における周期性四肢運動については解析が行えたが、引き続き症例の集積を行い、睡眠時無呼吸症候群やレストレスレッグス症候群の合併状況やその臨床特性についての解析、さらに抑うつ、QOLの評価を加えていく必要があるため。
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今後の研究の推進方策 |
症例数の集積を引き続き行う。ナルコレプシー患者の睡眠時無呼吸症候群やレストレスレッグス症候群の合併状況を調査した上で、治療介入前後の眠気、抑うつ、QOLの変化について評価していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
ナルコレプシーの診断と病型や症状の関係を明らかにするために、HLA DRB1*1501/DQB1*0602タイピングに加えて、髄液オレキシン解析を予定している。
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