研究概要 |
目的:情動脱力発作(CA)を伴うナルコレプシー(NA-CA), 伴わないNA(NA w/o CA)、特発性過眠症(IHS)におけるレム睡眠行動障害(RBD)、睡眠中の周期性四肢運動(PLMS)、睡眠時呼吸障害の合併率、ならびに出現量を比較する。 方法:終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査及び睡眠潜時反復検査(MSLT)を行い、睡眠障害国際分類第二版に基づいて診断されたNA-CA 139名、NA w/o CA 225名、及びIHS 242名の三群を対象とし、PSGにおけるRBD(行動/発声の出現率, REM sleep without atonia: RWAの出現率および出現量)、PLMS(PLMS index≧15/hの出現率, REM睡眠・NREM睡眠各期におけるPLMS index)、および睡眠時呼吸障害(AHI≧5/hの出現率)を比較した。 結果:RWAならびにPLMS(≧15/h)の出現率は、他の二群に比してNA-CA群において有意に高かった[RWA: 23/139名(16.5 %)(NA-CA), 18/225名(8.0%)(NA w/o CA), 22/242名(9.1%)(IHS); PLMS: 14/139名(10.1 %)(NA-CA), 7/225名(3.1%)(NA w/o CA),13/242名(5.4%)(IHS)]。また、phasic RWA量、tonic RWA量、PLMS index共にNA-CAの群で有意に高かった。 考察:過眠症サブグループ内においてNA-CA群は他群に比して睡眠関連運動障害を合併しやすく、かつ運動抑制障害の程度も大きかった。これはおそらく、NA-CA患者で高率にみられるオレキシン(Hcrt-1)神経活動の低下が、睡眠中の運動抑制障害に関与しているためと考えられた。
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