研究課題
認知症高齢者は、認知症の進行により、いずれ自動車運転を安全に継続することが困難となる。認知症高齢者の運転中止は、本人及びその家族介護者にとって、多大なる困難を伴うものであるが、その困難や心理的な負担についての先行研究は極めて少ない。申請者は「認知症高齢者の自動車運転に対する社会支援のあり方に関する検討(課題番号:H19-認知症-一般-025)」の研究代表者として、同研究の成果を統合し「認知症高齢者の自動車運転を考える家族介護者に対する支援マニュアル」を作成した。同マニュアルは、既に諸方面にて広く活用されているものの、個々の家族介護者に対する具体的な効果については、明らかになっていなかった。昨年度、認知症患者の運転中止に関連する家族介護者の心理的な評価尺度として、運転問題自己効力感尺度日本語版の信頼性と基礎的な妥当性を確認した。また、運転中止に係る日常生活における困難や、家族介護者の心理的な側面について、その評価方法を、予備調査にて検討し、評価項目を改善し決定した。本年度は、以上の成果に基づき、K大学医学部附属病院精神科外来にて、上記マニュアルを用いた心理教育的介入を開始した。対象は、専門医により新規に認知症との診断を受け、免許を保有し、日常的に運転しており、研究協力への同意を得られた外来患者と、当該患者と同居する家族介護者である。研究の参加に同意を得られた外来患者の連続例を、介入群と待機群に準ランダム化にて割り付けし、臨床診断直後にベースラインの測定、3ヵ月の介入・待機の後、アウトカム測定、その後、介入群は3ヵ月の待機、待機群は3ヵ月の介入を行った後、再度のアウトカム測定を行っている。平成24年度末までに、40例が研究に参加し、心理教育的介入が開始されている。
3: やや遅れている
前年度に作成し信頼性の検討を終えた運転問題自己効力感尺度日本語版と、予備調査に基づき改訂した評価項目を用い、計画通り、高知大学附属病院精神科外来にて、心理教育的介入を開始している。受診患者のうち、介入対象となる者の出現率が、時期により変動が見られており、平成24年度末の時点において、計画よりも参加者が、やや少ない状況である。
高知大学附属病院精神科における受診患者のうち、研究の対象となる患者数に、時期による変動が見られ、現時点において、計画よりも参加者(患者)がやや少なかった。そこで、研究期間内に計画した参加者数(患者数)に到達することを確実にするため、高知大学附属病院精神科と同じ体制で介入実施が可能な外部の1病院にて、並行して本研究の研究計画に則った心理教育的介入を開始することとした。
該当なし
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