研究課題/領域番号 |
23591746
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 昭喜 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80148874)
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研究分担者 |
隈部 俊宏 北里大学, 医学部, 教授 (10250747)
村田 隆紀 東北大学, 大学病院, 助教 (70390929)
麦倉 俊司 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20375017)
梅田 みか (渡辺 みか) 東北大学, 大学病院, 准教授 (20292344)
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キーワード | 脳腫瘍 / グリオーマ / MRI / 潅流画像 / 拡散強調画像 |
研究概要 |
本研究の目的はグリオーマの再発と治療後の変化(放射線壊死、pseudoprogression、pseudoregression)との鑑別を3テスラMRIで検討することである。われわれは造影剤を用いた潅流画像、拡散強調画像によるADC(見かけの拡散係数)、Susceptibility weighted images (SWI)、MR spectroscopy(MRS)に注目して症例を重ねてきた。 潅流画像に関しては、当初は造影剤の量を通常量としていたが、これを2倍量に変更することで、腫瘍からの造影剤漏出の影響を低減し、腫瘍の血液量(CBV)をより正確に把握することが可能となり、鑑別に有用な撮像法と考えている。ただし、新薬の ベバシズマブ(血管内皮細胞増殖因子に対するモノクローナル抗体)が2013年後半から使用されるようになり、脳腫瘍の画像診断は大きく変化している。われわれの検討でもベバシズマブを使用下では、脳腫瘍のCBVは低下する傾向があり、再発と治療後の変化の鑑別が難しくなっている。この点に関しては今後のプロスペクティブな検討で明らかにする必要がある。 ADCの検討では、腫瘍再発でADCが低い傾向がみられ、有用な指標と思われた。ただし、ベバシズマブ使用下では腫瘍内のADCが低下するが、治療効果を反映しているのか、あるいは viable な腫瘍を示しているのか、現時点では明確な結論は出ていない。 SWIに関してはグリオーマの悪性度と比例して線状、塊状の低信号が増加し、術前の腫瘍の悪性度の推定に役に立つことが示された。一方、再発と治療後の変化との鑑別に関しては、オーバーラップが多く、SWI単独での判断は難しいことが多かった。 MRS に関しても、現時点では再発と治療後の変化との鑑別は難しい。今後、定量化した症例のデータが蓄積されていけば、有望な診断手法となり得ると思われる。
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