研究課題/領域番号 |
23591751
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
呉 勁 千葉大学, 社会精神保健教育研究センター, 特任准教授 (20375512)
|
研究分担者 |
橋本 謙二 千葉大学, 社会精神保健教育研究センター, 教授 (10189483)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | PDE10A / 分子イメージング / 脳精神・神経疾患 / 分子イメージング用リガンド / 可視化 / 定量分析 / 脳 / 動物 |
研究概要 |
本研究の目的は、脳内ホスホジエステラーゼ(Phosphodiesterase:PDE)10A (PDE10A)の可視化及びその酵素活性の定量評価が可能なPET/SPET用放射性薬剤を開発し、基礎検討並びに覚醒状態下でのサルPETによる前臨床実験を通し、脳におけるPDE10AのメカニズムやPDE10A阻害剤の薬理効果を解明し、脳疾患の病態との関連性を明らかにすることである。 本年度では、予備実験時撮影された覚醒アカゲザル(n=3)の[11C]MP10-PET(90分間ダイナミック撮影)データ、撮影中経時的に採血した動脈血液データ、PET撮影前に予め取得した脳MRIデータを用い、PDE10Aの阻害剤であるMP10の覚醒サルにおける脳内分布及び動態分析を行った。MRIを参考にPET画像上の前頭葉、尾状核、被殻、小脳に関心領域(ROI)を設定し、各部位における放射能の経時的変化を求めた。そのデータにグラフ解析法を適用し、各ROIの全分布体積(VT)を推定した。 PDE10Aは、特に線条体に多く存在することが知られているが、今回の分析結果は、MP10の脳への取り込みは非特異的なものが多く、明らかな部位差はほとんどなかった。それを元に推定したPDE10Aの濃度を反映するVTにも大きな部位差は見られなかった。今回の結果から、 [11C]MP10は、PDE10Aの新規放射性薬剤としては適さないことが判明した。 現在適応可能な新たな化合物の絞り込みを試みている。また、脳神経精神疾患の小動物モデルの作成も進んでおり、次年度での免疫組織化学実験や、新規化合物の結合実験に利用する準備が整っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脳内PDE10Aに選択性の高い化合物の絞り込みが困難であった。
|
今後の研究の推進方策 |
PDE10Aの脳内分布を評価する為に適応可能な新規化合物の絞り込みを続けて行う。 また、現在脳神経精神疾患の小動物モデルの作成が進んでおり、次年度での免疫組織化学実験や、新規化合物の結合実験に利用する準備が整っている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
23年度に引き続き1) PDE10Aの脳内分布を評価する為に適応可能な新規化合物の絞り込みを続けて行う。2)脳疾患小動物モデルにおける、絞られた新規化合物を用いた体外並びに体内実験を行う: a)脳内のPDE10への選択性、特異性について検討する;b)オートラジオグラフィーによる脳内分布を画像で確認する。これらの方法により生きた生体におけるPDE10の脳内分布やその変化を観察し、PDE10のメカニズムについて詳細に調べる。3) サルPETを用いた前臨床実験を行う(浜松ホトニクス株式会社に委託) 最終的に選出された放射性薬剤を用い、健常サルにおける無麻酔状態でのサルPETを施行し、画像データを収集しする。さらに、得られたPETデータの定量解析を行い、生きた霊長類動物の脳内PDE10の分布を分析する。
|