研究課題
小動物用高分解能PET装置は、生体内の特定の標的となる分子構造を認識できるよう設計されたポジトロン標識化合物を用い、その経時的な体内動態を可視化し、生体内の生理的生化学的指標を定性的かつ定量的に評価できる装置である。分子標的診断法を中枢神経疾患モデルマウスに応用するためには、詳細な脳構造の解剖学的情報を基盤にした解析システムの構築が不可欠である。そのためには高分解能で軟部組織のコントラストに優れた高磁場MRIによる形態画像の利用が最も適していると考えられる。我々は、これまで、PETとMRIに共通したアクリル製マウス用頭部固定装置の開発を行い、頭部固定器具によるPETとMRIによる位置合わせが高い精度で実現できることを検証した。また、F-18標識フルオロデオキシグルコース(FDG)を用いたマウス脳PET画像と同一のマウス脳MR画像を融合し、同一断面のPET画像とMR画像を表示し、解剖学的情報の乏しいPET画像から生理・生化学的指標である脳局所の糖代謝率を算出する手法を構築してきた。平成23年度は、その解析システムを用い、脳内各部位の糖代謝の対全脳平均値の算出を試みた。平成24年度は、標準マウスMR画像を用い、各マウスMR-PET画像を標準マウス画像に変換し、自動的に脳局所糖代謝指標を算出するシステムを開発し、形態の異なるマウス脳画像から同一の標準template ROIを用いて再現性の高い解析が可能なことを示した。平成25年度は、データ解析の簡便化をめざし、PET-CT複合装置のCTを高分解能モード撮像し、MRI同様の解析が可能かを検討した。その結果、PET-CT付属のCTでは、マウスの脳輪郭を正確に抽出できず、精度の高い解析をおこなうには頭部MRI撮像が必須であることを確認した。今後の疾患モデルマウスを用いた研究の基礎的データが得られた。
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