研究課題/領域番号 |
23591755
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
松尾 信郎 金沢大学, 大学病院, 講師 (30359773)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 融合画像 / 冠動脈石灰化 / 心臓バイパス術 / SPECT/CT / メチオニン / リスク / 非侵襲的 / 虚血診断 |
研究概要 |
本研究はSPECT/CT 複合機で心臓CT から得られる冠動脈石灰化を含む形態情報と心臓核医学検査から得られる生理学的情報を統合し虚血性心疾患の新しい診断技術を開発することにある。「動脈石灰化と心筋血流との関連の解明」は、金沢大学附属病院患者において倫理委員会に承認された石灰化評価をSPECT/CTを用いて行った。虚血性心疾患またはその疑いにて負荷心筋血流シンチグラフィを受けた連続105例に対して石灰化評価と心筋血流検査を行った。年齢が上がるとともに石灰化スコアが高値となる傾向を認め、SPECTで虚血を生じた症例での石灰化スコア(CAC)は虚血の無い症例のCACよりも高いことを観察した。CAC高値の症例では冠動脈CTによる冠動脈内腔評価が困難であった。内容を英文誌ANMに出版した。「融合画像による新しい画像診断の開発研究」は,メチオニン画像を含めた生理学的情報と心筋血流情報、石灰化情報を融合させた診断アルゴリズムを確立するための実験を行った。ラット虚血再灌流モデルにおけるメチオニンイメージングについて検討しメチオニン集積は心筋梗塞部の血管新生を含めた組織修復,リモデリングの活動性の高さを反映していることを循環器学会学術集会で報告した.「融合画像診断によるリスク層別化研究」は、心臓バイパス術後患者21例に対して融合画像を作成し、虚血および心筋生存能評価、バイパス血管を含む350血管を解析し責任冠動脈病変診断能の向上を認めた。バイパス術後患者は融合画像によりバイパス血管とnative冠動脈の関係が明確になった。多枝病変でバランスした虚血が存在する場合には血流低下での虚血診断が困難となることを認めた。その内容と臨床的有用性について心臓病学会に報告した。2011年度に研究代表者は心筋シンチグラムやSPECT/CTという非侵襲的手法を用いて機能的情報と形態情報について研究を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は3つの研究目標のすべてで当初の計画以上に進展している。1つ目の目標である動脈石灰化と心筋虚血のとの関連の解明については学会での発表を行うだけでなくAnnals of Nuclear Medicineに論文化し発表することができたことが当初の計画以上である。2つ目の目標である融合画像による新しい画像診断の開発研究についてはラットを用いて虚血再灌流もでるにおける心筋梗塞部の血管新生を含めた組織修復、リモデリングの活動性について検討し報告した。概ね順調に進展している。3つ目の目標である融合画像によるリスク層別化研究では融合画像を作成することに成功し心臓バイパス術後患者の融合画像作成による有用性について学会で報告し、更に検討している。概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
SPECT/CT複合機で心臓CTから得られる冠動脈石灰化を含む形態情報と心臓核医学検査から得られる生理学的情報を統合し虚血性心疾患の新しい診断技術を開発のためにいままでの研究をすすめさらに充実させていく。心臓核医学検査は患者の同意を得てさらに検査を勧めていく。リスク層別化のための画像診断の発展のための研究を行う予定である。学会で発表し指摘された項目に関しては更に検討していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、現在の研究を引き続き行うと同時に、これまでの研究内容については論文化し学会発表していく。データ保存のメディアを購入し、解析用のPCを購入し解析を行う。情報収集のために関連学会に参加する予定である。
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