研究課題/領域番号 |
23591759
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐竹 弘子 名古屋大学, 医学部附属病院, 准教授 (00324426)
|
研究分担者 |
長縄 慎二 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50242863)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 画像診断学 |
研究概要 |
・160例の乳癌症例に対し、retrospectiveに超音波およびMRI所見を解析し、選択された術式の妥当性を、病理学的結果から評価を行った。MRIでは背景乳腺の造影効果について評価を追加し、術式との相関を解析した。また、MRIにおける背景乳腺の造影効果と、USにおける背景乳腺の所見や月経周期との相関について解析を行った。乳房温存術の選択された率は53%で、断端陽性率は7%であった。MRIで背景乳腺の造影効果が強度なほど温存率は低下していた。また、MRIで背景乳腺の造影効果は、超音波における背景乳腺や閉経の有無と相関があり、これらが予測因子となりうることが判明した。以上のことから、MRIで背景乳腺の造影効果が強いほど、乳癌術前画像検査としての有効性が低下する可能性が示唆され、乳腺MRIを術前に行う場合には症例をUSや閉経の有無で選択することが有用と考えられた。これらの結果を、国内の学会において報告した。・乳癌の術前画像評価のシミュレーションシステムであるRealtime virtual sonographyの開発を行った。異なる日時に撮像されたMRIやCTの画像をリアルタイムに参照できることが可能となり、乳癌術前化学療法など、複数回にわたって画像を取得されている症例の術前シミュレーションに対する有用性が確認された。また、異なる日時に撮像された超音波画像についても取り込み参照が可能となった。また、位置発生装置やマウスの改良により使用性の向上が得られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
・統一したプロトコールで撮像された乳腺MRIの過去症例数が少なく、計画よりも検討症例数が少ないが、症例を蓄積しており数を増やす計画である。乳癌術後のQOLや予後の情報取得に難渋し、これらに関してのの解析が計画より遅延している。・Realtime virtual sonographyにおいては、過去試行症例の検討、解析を開始しているが計画より遅延している。また、取り込みデータとして、仰臥位乳腺MRIの画像取得を計画していたが、臨床的に適応症例が少なく、症例数の蓄積が遅延している。
|
今後の研究の推進方策 |
・対象症例数を増加させ、平成23年度に検討した症例とあわせ、データベースを作成する。これをもとに、統計学的解析を行う。これによって、現況のMRIとUSによる乳癌術前画像診断の問題点と有用性を明らかにし、これらのモダリティ診断が臨床的に有効であったか検証する。研究の結果については、国内外の学会で報告し、論文の作成を行う計画である。・乳癌の術前画像評価のシミュレーションシステムであるRealtime virtual sonographyについても、前向きに症例数を蓄積し、平成23年度までに試行した症例と併せ、その有効性を乳癌術後の臨床的・病理学的結果と比較することによって明らかにする。また、ソフトの開発も同時に行い、使用性の向上をはかる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
・研究のデータベースの作成や解析のためには専用のパソコンが必要であり、解析には統計解析ソフトが必要である。また、これらを保存しておくための保存用ディスクが必要である。・研究を有効的に進めるには常に国内外で最先端の情報収集が必要である。国外では、最新の情報収集と発信が最もグローバルに行える北米放射線学会(シカゴ)に出席し成果発表を行う予定である。本研究では、乳癌の臨床的意義の高い知見が多く含まれており、これらを実証した段階で迅速に論文化する予定である。・研究資料の取り寄せや整理に対する謝金が必要である。また、論文作成に対する英文校正への謝金が必要である。
|