1.本研究によって乳癌術前MRIにおける背景乳腺の造影効果が、乳房温存療法・乳房切除術の術式決定に影響があることが判明した。術後標本による病理学的所見との対比によって、背景乳腺造影効果が温存療法の奏功に影響を与えることが判明した。また、背景乳腺の造影効果の個人差が、超音波検査における背景乳腺の所見や、閉経の有無、MRIの拡散強調像で予測可能であることが統計学的に判明した。よって、乳腺のMRIを予定する場合は、超音波検査によって背景乳腺の状態を観察し、強い背景乳腺造影効果が予測される場合を選択して、MRI検査のスケジュールを月経周期に合わせることが有効的と考えられた。これらの研究の成果について英語論文を作成し投稿した。 2.本研究によって、乳癌の腹臥位MRIと背臥位CTにおける病変の移動について、内側下方の病変が最も予測が可能であることが判明した。移動の予測因子としては、乳房の大きさや、病変の乳頭からの距離に有意な相関がみられた。一方で、外側上方の病変が最も予測が困難であった。これらの研究成果について英語論文を作成投稿し、Breast Cancer誌に掲載予定である。 3.平成26年度に、Realtime virtualsnography (RVS) を用いて、MRIdetected lesionを伴った乳癌5例と術前化学療法後の乳癌3例について術前マーキングを施行した。これらについて術後標本の病理学的所見と画像所見の対比を行った。全例で切除断端陰性の結果を得ることができた。
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