研究課題/領域番号 |
23591760
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
二橋 尚志 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (00426496)
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研究分担者 |
寺澤 晃彦 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (30399597)
伊藤 健吾 独立行政法人国立長寿医療研究センター, その他部局等, 部長 (70184653)
川井 恒 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (50378147)
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キーワード | 認知症 / バイオマーカー |
研究概要 |
認知症のバイオマーカーの診断精度または予後予測能に関して、現在までに発表された文献を解析し、メタ分析を実施している。2000.1.1-2012.12.31までにPubMedに報告された英語論文の抄録を独自に設定したクライテリアを満たすものを採用とした。研究テーマーは、Mild cognitive impairment (MCI)からAlzheimer disease (AD)へのコンバート、およびMCIとAD(一部は正常や他の認知症も含む)との鑑別診断、Dementia with lewy body (DLB)もしくはADかの鑑別診断、Frontotemporal lobar dementia (FTLD)か他の認知症かの鑑別診断、Vascular dementia (VD)か他の認知症かの鑑別診断、MCIへのfunctional MRIの適応に関してを検討項目とした。 一方、除外する研究としては、ADのみ、あるいはAD vs normalのみを検討しているもの、また、Parkinson-related dementiaやParkinsonism with dementia 、ADの特別な家系や遺伝子タイプ、FTDの特別な家系や遺伝子タイプなど特殊な認知症をきたす疾患のみ、あるいはこれらと正常対象群との鑑別診断を検討しているものは除外とした。 スクリーニングの結果、MCI関連は363本、FTLD関連は129本、DLB関連は126本、VD関連は89本、fMRIのMCIへの使用関連は640本を仮採用とした。 各テーマにおいて論文から診断精度に関するデーターを抽出し、メタ分析を実施する。まずDLB関して解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2000.1.1-2012.12.31までにPubMedに報告された英語論文のなかで独自に設定したキーワードを用いて検索したところ、総数総数23403本の論文が一次候補として選択された。この抄録を読み独自に設定したクライテリアを満たすものを採用と判断したところ、MCI関連は363本、FTLD関連は129本、DLB関連は126本、VD関連は89本、fMRIのMCIへの使用関連は640本を二次候補とした。この中で、まず、DLBに関して、メタ分析を実施した。 126本の中から、さらに診断精度が計算できるか否か、臨床で一般に使用される検査か否かなどを判断基準にし、最終的に、総計36本の論文を採用した。一つの論文で複数のバイオマーカーに関する結果を報告しているものがあり、全体として50の研究からの検査結果を解析対象とした。DLB患者1024例、非DLB患者(主にAD)2241例が検討されており、鑑別診断目的の検査精度についてメタ分析を実施した。 臨床状況は主にDLBとADの鑑別目的となるが、画像バイオマーカーではSPECT-MIBGが要約感度91%、要約特異度100%もっとも高い診断精度であった。CSFに関してはt-tauが、要約感度90%、要約特異度92%と高い診断能であった。
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今後の研究の推進方策 |
DLBの鑑別診断能の研究に関しては、すでに結果が得られており、研究発表や論文作成を進めている。 他の4つのテーマに関しては、順次、メタ分析を行う予定であるが、MCIへのfMRIの適応に関しては、診断精度に至る情報はなく、現在までに報告された、検査状況やその質に関して、どの様なエビデンスが得られているのかに関して、報告をする予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究は、論文の収集やデータの取込みにマンパワーが必要であり、現在、一名の研究補助員に支援を頂いている。引き続き、この研究補助員への人件費が大きな使用目的である。 その他、研究成果の論文作成や、その過程における英文校正やその他、学会発表などの旅費に使用したいと考えている。
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