研究課題/領域番号 |
23591763
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
大田 信一 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (30583637)
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研究分担者 |
園田 明永 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (00571051)
新田 哲久 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (40324587)
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キーワード | 血管新生阻害薬 / 画像評価 / 病理評価 |
研究概要 |
本年度は、①前年度に行った単剤投与による抗腫瘍効果の病理評価、②併用投与による抗腫瘍効果と病理評価を動物実験で検討した。 単剤投与による病理評価では、梗塞率と腫瘍内血管数で評価したが、無治療群と比較して有意差が乏しく、治療効果との関連が乏しかった。 併用投与による抗腫瘍効果は、A:ソラフェニブ40mg+ベバシズマズ5mg/kg+サリドマイド20mg、B:ベバシズマズ5mg/kg+サリドマイド20mg、C:ソラフェニブ40mg+ベバシズマズ5mg/kg、D:ソラフェニブ40mg+サリドマイド20mgの4群で投与を行い、無治療群(E群)との比較した。腫瘍体積の増減率は、A:161.0±40.3%、B:98.0±35.5%、C:110.6±32.9%、D:44.9±8.9%、E:319.1±154.2%であった。造影CTによる造影効果変化率はA: 42.2±3.6%、B: 66.5±23.7%、C: 51.2±6.2%、D:41.0±1.2%、E:71.0±5.0%、血管造影による造影効果変化率は、A:65.9±4.4%、B:83.1±25.0%、C:80.4±18.5%、D:48.3±18.0%、E:58.5±27.1%であった。3剤投与したA群では、肝動脈の狭小化や肝梗塞が広範に認められた。病理評価では、梗塞率と腫瘍内血管数(本/視野)がそれぞれ、A: 95%、0.83、B: 90%、0.2、C: 95%、0.25、D: 72.5%、1.5、E:100%、0であった。 3剤での併用療法は副作用の大きさが示唆されるが、2剤での併用療法は、単剤投与と比較しても抗腫瘍効果は高い傾向(有意差は認めない)があり、相乗効果があると思われた。画像評価としては、腫瘍サイズだけが、信頼できる結果となっており、造影CTや血管造影での造影効果変化率や病理評価との関連が乏しい結果となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目に予定しており、施行できずに終わっていた単剤投与の病理評価を行うことができた。 さらに2年目に予定していた併用療法の実験と画像解析及び病理評価は行えたことは、予定通りである。実験の進行スピードは予定通りであるが、予想していた結果は得られておらず、さらに追加実験を行い、新たな結果を分析している段階である。
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今後の研究の推進方策 |
仮説では抗腫瘍効果と血管新生増生率が関連することを予想していた。前年度の単剤投与による評価では抗腫瘍効果と画像評価による血管増生率の関連がない結果となっていた。今年度では、その病理評価も行ったが、梗塞率や動脈数にばらつきが大きく、また抗腫瘍効果や画像評価との相関が乏しい結果となっている。もともと肝腫瘍VX2は壊死傾向があり、無治療でも壊死、梗塞を起こしている部位があることが、結果のばらつきを生じている原因と思われる。 さらに多剤併用療法で同様の評価を行ったが、抗腫瘍効果は認めるものの、画像での血管増生率や病理での梗塞率・動脈数に関連性は見つけられない結果となっている。これが、仮説が正しくないのか、それともN数が不十分なためなのか、判断の難しいところであるため、追加実験を行い、同様のデータになるのかを見極める所存である。
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次年度の研究費の使用計画 |
追加動物実験のためのウサギ購入や麻酔薬などの薬剤購入などの物品費に使用する。また動物実験協力や病理標本作製のための謝金、国内外の学会参加のための旅費に使用する予定である。
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