研究課題
活性化したミクログリアにはいくつかの特徴的な変化があり、そのうちの一つとして18kDaTranslocator protein (TSPO) へのリガンドの結合性の変化が病変部に関連したミクログリアの活性化状態と密接な関連性が示唆されている。これらの評価法は、あくまでも神経細胞のみを対象とするものであり、グリア細胞の活性については検討することは不可能であった。TSPO結合性リガンドを用いることで可能になったグリア細胞(特にミクログリア)のPETイメージング研究を行った。TSPO結合性リガンド(11C-PBR28)の臨床供給は他施設研究所からの協力もあり、比較的早期に臨床現場での薬剤供給が可能となった。8名の健常日本人の測定では、11C-PBR28の集積は投与2分前後で最大となり、脾臓、肺、心筋、膵臓、甲状腺、腸管、腎臓、肝臓の順に高く、骨髄への集積も上昇していた。心筋、肝臓、腸管への集積は投与15分以降も比較的安定していた。脳の最大集積は投与10分前後と他臓器に比べて遅く、かつ相対的に低かった。脳内の11C-PBR28は灰白質優位に広く分布しており、活性化ミクログリアに多く発現するTSPO発現が示唆された。また、11C-PBR28の被曝線量算出を目的とした健常人の臓器別投与量の経時的分布については過去に報告があるが、臓器別放射能濃度の推移については今回が初めての検討となる。脳以外の臓器については、心筋や膵臓、脾臓や骨髄などの造血臓器への集積も上昇しており、特に心筋や膵臓では長時間にわたって集積が安定していた。特発性心筋症や自己免疫性膵炎などの炎症関連疾患についても11C-PBR28画像による評価が期待できることが解明された。
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