研究課題
ベンジル[1-14C]アセテートのマウス、ラットにおける脳内動態を組織摘出法により測定した。ベンジル[1-14C]アセテートはマウス、ラット共に投与直後に脳に高濃度で移行し、以後単一指数関数的に脳から消失した。ベンジル[1-14C]アセテートのラット脳からの排泄速度定数(k2)はベンジル[2-14C]アセテートと比較すると著しく大きく、k2が主にグリア細胞における[14C]CO2の産生率を反映する指標であることが強く示唆された。リチウム-ピロカルピン(Li-Pilo)誘発てんかんモデルラットのけいれん発作時及び1型糖尿病モデルマウス脳におけるk2はコントロール群との間に有意差を認めず、[14C]CO2の産生率はこれらのモデル動物で変化していないことが判明した。ベンジル[1-14C]アセテート投与後、早期画像(3分値)と後期画像(30分値)とから脳の各部位におけるk2を簡便に求める方法を確立した。ベンジル[1-11C]アセテートを標識合成し、グリア代謝抑制したラットにおける脳内動態をPETで計測した結果、麻酔の影響が大きいこと、覚醒下での測定には問題点が残されていることが判った。また、幼若ラット(3週齢)及び成熟ラット(8週齢)において、Li-Pilo誘発てんかんモデルを作製し、[13N]アンモニアの脳への取り込みを比較した。幼若ラットのけいれん発作時においては正常群と比較した結果、著明な取り込み亢進を認め、グルタミン酸-グルタミンサイクルが著しく亢進していることが判明した。ベンジル[1-14C]アセテートと[13N]アンモニアとを併用することにより詳細にグリア代謝の測定が可能であることが判明した。
すべて 2013
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Applied Radiation and Isotopes
巻: 78 ページ: 102-107
doi: 10.1016/j.apradiso.2013.04.025.