研究課題/領域番号 |
23591768
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高須 深雪 広島大学, 病院(医), 病院助教 (70565647)
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研究分担者 |
田中 信弘 広島大学, 病院(医), 助教 (20363062)
坂井 晃 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (70284221)
粟井 和夫 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 教授 (30294573)
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キーワード | 続発性骨粗鬆症 |
研究概要 |
骨粗鬆症による脊椎圧迫骨折はADL、QOLの著しい低下をもたらすことから、脊椎骨折リスク患者の層別化と発症予知対策の具体化が必要である。本研究は、64検出器CT検査による骨粗鬆症性脊椎骨折のリスク評価を目的としており、具体的には、① 続発性骨粗鬆症と対照例の骨梁パラメータの差の統計解析、②脊椎骨折を生じる骨梁パラメータの閾値の決定等である。 平成24度に腰椎骨折を20人、その他各患者群を各40人追加、平成23年度に撮影・登録された患者の追跡撮影を、約半年~1年で行った。 多発性骨髄腫に関してはMGUS/無症候性/症候性骨髄腫非骨折群/症候性骨髄腫骨折群の多重比較を行った。症候性骨髄腫骨折群では、フラクタル次元が非骨折群に比し有意に低下していた。胃手術後患者については、対照/幽門側胃切除後/全摘後で多重比較を行った。続発性骨粗鬆症の頻度は対照、幽門側胃切除、胃全摘群の順に増加した。骨梁パラメータは骨梁幅が続発性骨粗鬆症群で有意に低値を示した。また、縦断的評価では、術後年数と続発性骨粗鬆症の有病率には相関を認めなかった。慢性腎障害患者については対照/慢性腎不全/透析患者にて多重比較を行った。骨梁パラメータでは、男性ではconnectivityが、女性では骨梁幅が、対照群に比し透析患者で有意に低下していた。脊椎への放射線照射後として、肝細胞癌におけるCT透視下肝動脈塞栓術後の患者を対象とした。続発性骨粗鬆症の頻度は、男性患者において有意に高値であり、骨質と骨脆弱性パラメータは有意に低下していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
① 続発性骨粗鬆症と対照例の骨梁パラメータの差の統計解析:多発性骨髄腫、胃手術後、慢性腎障害、放射線照射後の続発性骨粗鬆症と対照例の骨梁パラメータを比較した。 ②脊椎骨折を生じる骨梁パラメータの閾値の決定:骨折群の症例を収集中である。 ③DXA骨密度と骨梁パラメータの脊椎骨折予測能を比較:DXAによるareal BMDと比較して骨ミネラルファントムによるvolumetric BMDが骨量測定に有用との報告が多数見られ、平成24年度よりvolumetric BMDを測定し、続発性骨粗鬆症の基準に用いている。
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今後の研究の推進方策 |
脊椎骨折を生じる骨梁パラメータの閾値の決定に関しては腰椎骨折症例を引き続き収集予定である。続発性骨粗鬆症の基準として骨ミネラルファントムとMDCTによるvolumetric BMDを用い、有病率を算出する。近年大腿骨や脊椎の骨折リスク評価として有限要素法を用いる報告が多数認められる。今後本研究にてもMDCTデータより機械特性を算出し、CT/FEMによる骨折リスクの評価を行う予定である。対照・患者と腰椎骨折群で有意差のある海綿骨骨梁パラメータを決定し、骨折予測因子と成りうる骨梁パラメータとする。これら各種パラメータから成るpreliminary predictorを用いて一般化線形モデルにより骨折リスクの予測因子・寄与率・閾値を決定する。付随解析としてMGUS/無症候性/症候性骨髄腫の比較を行い、一般化線形モデルにより症候性骨髄腫(≒脊椎骨折)を分離するモデルを求める。追跡可能症例では骨梁パラメータの変化を求める。骨梁パラメータの経時的変化及び患者群間での骨梁パラメータ変化の違いを求め、椎体骨折の予測、疾患別骨折リスクの層別化を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
骨梁解析ソフトウェアレンタル料として85万円、国内外成果発表費用として30万円、英文校閲料として6万円、CTデータ運搬料として約3万円使用予定である。
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