日本CT検診学会から“CTで発見される肺結節の判定基準と経過観察”に関するガイドラインが出されているが、本研究は、そのガイドラインの妥当性や臨床的意義を明らかにするものであり、学術的観点から非常に重要である。 本研究に同意の得られている者で、長崎大学病院および長崎胸部CT検診研究会に所属する4施設の計5施設を受診し、初回胸部CT検査において径5mm以上の結節影または濃度上昇が認められる者を対象とした。平成25年度までに、計99例がエントリーされた。大学病院で行われたセントラルレビューの結果を以下に示す。 99例中経過観察ができたのは88例(11例は初回CTのみの症例)で、55例が経過観察中、縮小が4例で経過観察を終了とした。増大例を含む7例が手術され、6例が肺腺がんであった。症例登録から2年間が経過したときの腫瘍のサイズの変化を主要エンドポイントとしているが、22例はサイズ不変で研究での経過観察を終了した。 現時点では、ガイドラインに沿ったマネジメントによる、診断・治療が遅れた症例はなく、学会ガイドラインは妥当なものと思われるが、今後の症例蓄積、さらなる経過観察が必要である。
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