研究課題
前年度までの研究で早期関節リウマチ(RA)症例の両手MRIについて,非造影MRIの診断能,早期診断および治療における意義について検討してきた。今年度はさらに以下の事項を検討した。1)前年度の早期診断における検討の見直し:164例の関節炎疑いの患者について2010年のACR/EULARによる RA分類基準を適用した場合のRAの診断能、非造影MRIで認められる骨髄浮腫を加えることによる診断能の違いを評価した。RAの最終的な診断は、リウマチ専門医の判断により発症後1年以内にDMARDsを使用した症例をRAとした。この結果、ACR/EULAR分類基準による診断能は感度62.4%, 特異度83.1%,正確度71.3%であった。これに非造影MRIにおける骨髄浮腫の所見を加えた場合,すなわち前者が陰性であっても,骨髄浮腫が陽性であればRAと診断した場合は感度79.6%, 特異度76.1%,正確度78.0%となった。MRIにおける骨髄浮腫を追加することにより,ACR/EULAR分類基準でRAと診断できなかった35例のうち,16例をRAと診断することができた。2) 治療効果達成判定における骨髄浮腫の意義:初回のMRIで骨髄浮腫を認めたRA22症例のうち,治療1年後に骨髄浮腫スコアが67%以上減少した症例15例とそうでなかった7例に分け,その後(少なくとも2年)の手関節のX線写真におけるスコア(modified Sharp-Genant score)の変化を検討した。初回のX線スコアは両者に有意差がなかったが, X線スコアの進行があったものが,前者で13.3%,後者で85.7%と有意差を認めた。すなわち治療1年後の骨髄浮腫のコントロールが骨破壊の進行予後に重要であることが示唆された。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 6件)
Rheumatology (Oxford)
巻: 53 ページ: 562-569
Rheumatology
巻: 22 ページ: 22
Modern Rheumatology
巻: Equb ahead of print ページ: 1-6
10.3109/14397595.2013.844394