研究課題/領域番号 |
23591777
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
船間 芳憲 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (30380992)
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研究分担者 |
粟井 和夫 広島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30294573)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | CT / 逐次近似法 / フィルタ逆投影法 / 線量低減 / 画質 |
研究概要 |
23年度から25年度にかけて、さらなる線量低減技術として有効な逐次近似画像再構成法を用いた新たな画像再構成法の可能性について取り組む予定であり、具体的には以下の項目を中心に研究を遂行している。1.心臓CT での低管電圧技術と逐次近似画像再構成法を併用した線量低減ならびに画質改善 2.逐次近似画像再構成法を用いた心臓CT でのアーチファクト低減 3.逐次近似画像再構成法を用いたカルシウムスコアの線量低減ならびにスコアの改善。さらに上述の結果を参考にし、新たな手法を用いた逐次近似画像再構成法の開発ならびに他の領域における応用についても検討する。 23年度は、心臓CT での低管電圧技術と逐次近似画像再構成法を併用した線量低減ならびに画質改善を行った。心臓CTにおいて被曝線量の低減ならびに造影剤の低減の面からも低管電圧の使用は重要である。ただし、欠点として挙げられるノイズの増加を逐次近似画像再構成を用いて低減をおこなうことが研究の目的である。結果としては低管電圧に逐次近似画像再構成を組み合わせることで、画質の因子であるコントラストやノイズ、低コントラスト描出能などを改善した状態で、従来用いられているX線量よりも最大で76%低減することが可能となった。今後、臨床研究では、診断を最大に考慮して50%の線量低減でおこなう予定である。次に心臓の血管を拡張させるステントの内腔の描出能について取りくんでいる。ステントは金属のためにCTで撮影した場合、画質を劣化させる要因となり、特にステント内腔(血管内腔)の評価が難しい。そこでステントによる画質劣化を抑える手法を考案した。具体的には逐次近似画像再構成法とCTの画像再構成関数を高周波タイプに変えることで、ステント内腔の描出能を改善するものである。これらは研究内容の一部を国際学会へ発表したが、データなどを積み重ねて最終的にまとめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
逐次近似法に関する文献等や、各装置メーカの逐次近似法の手法および概要について調べることに予定よりも時間を費やしたが、これらを参考としたために研究目的に最適なファントム実験をおこなうことができ、内容を論文化することができた。また、逐次近似法に関する新しい内容も国際学会で発表できたため、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に調査した逐次近似再構成法やカルシウムスコアに関する論文等から、心臓CTにおけるカルシウムスコアの問題点が明らかになり、今後、逐次近似再構成法を用いて心臓CTにおけるカルシウムスコアでの精度改善や、ステントやカルシウムなどで発生するブルーミングアーチファクトの低減についても検討する。具体的には以下の内容で進める予定である。1)心臓の動きを可能としたファントムに模擬冠動脈を付属する。模擬冠動脈は狭窄率0%と50- 90%の数段階の閉塞モデルを使用する。また、閉塞率75%に対して軽度、中等度、高度の石灰化を伴う模擬冠動脈も使用する。2)心臓ファントムの心拍数を0 bpmと50-90 bpmに変化させ、低管電圧CTを標準管電圧の50, 60, 70, 80%程度低減してスキャンを行う。同様に標準管電圧でもスキャンを行う。3)ステントの径は冠動脈に適した3.0mmとし、ステントの種類を3種類変更する。4)それぞれの管電圧でスキャンしたデータをFBPとIRのアルゴリズムで画像再構成を行い、画像を作成する。5)ステントおよび石灰化からのアーチファクトを把握するために血管径の測定やアーチファクト自体を定量的に測定する。6)また、放射線科医に依頼しアーチファクトに関して視覚評価を行い、線量低減率とアーチファクトの関係について結果を導く。
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次年度の研究費の使用計画 |
模擬冠動脈モデルとして石灰化モデルやステントモデル、さらに狭窄モデルなどを組み合わせて購入し実験を行いたいと考える。狭窄モデルに関しては、以前に強度狭窄の判定が難しかったため、0%, 25%, 50%の狭窄モデルを準備する予定である。また、当初、23年度にプログラミング等が可能な解析ソフトを購入する予定であったが、逐次近似法の内容把握や文献等検索に時間を必要とした。そのために、今年度、23年度未使用の金額を解析ソフト購入費に使用し、狭窄モデルを使用して撮影されたCT画像について、さまざまな解析を加えたいと考える。
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