研究課題/領域番号 |
23591777
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
船間 芳憲 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (30380992)
|
研究分担者 |
粟井 和夫 広島大学, その他の研究科, 教授 (30294573)
|
キーワード | CT / 逐次近似法 / フィルタ逆投影法 / 線量低減 / 画質 |
研究概要 |
23年度から25年度にかけて、さらなる線量低減技術として有効な逐次近似画像再構成法を用いた新たな画像再構成法の可能性について取り組む予定であり、具体的には以下の項目を中心に研究を遂行している。1.心臓CT での低管電圧技術と逐次近似画像再構成法を 併用した線量低減ならびに画質改善 2.逐次近似画像再構成法を用いた心臓CT でのアーチファクト低減 3.逐次近似画像再構成法を用いたカルシウムスコアの線量低減ならびにスコアの改善。さらに上述の結果を参考にし、新たな手法を用いた逐次近似画像再構成 法の開発ならびに他の領域における応用についても検討する。 24年度は、心臓の血管を拡張させるステントの内腔の描出能について取りくんだ。ステントは金属のためにCTで撮影した場合、画質を劣化させる要因となり、特にステント内腔(血管内腔)の評価が難しい。そこでステントによる画質劣化を抑える手法を考案した。具体的には逐次近似画像再構成法とCTの画像再構成関数を高周波タイプに変えることで、ステント内腔の描出能を改善するものである。まずはファントムを用いた基礎的な検討をおこない、そのデータをエビデンスとして臨床研究をおこなった。これらの研究内容は、両者とも国際雑誌へ論文を掲載することができ一定の成果が得られた。また、新たな逐次近似再構成法の研究を進めている。具体的には豚の肝臓を使用して、これまでの画像との違いや描出能の改善、診断能への影響、線量低減の可能性などを検討するものである。現在、研究を進行中であり、新しい逐次近似再構成法の内容についても最終年度である25年度までに国際学会や国際雑誌等に結果をまとめ報告する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的に最適なファントム実験をおこなうことができ、内容を論文化することができた。また、逐次近似法に関する新しい内容も国際学会で発表できたため、おおむね順調に進展していると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
24年度からおこなっている新しい逐次近似再構成法の基礎検討から、23年度、24年度前半におこなった従来の逐次近似再構成法との違いや、特徴などを確認することができた。また、臨床へ適応するための問題点についても把握することができた。ただし、24年度の検討で新しい逐次近似再構成法は、再構成アルゴリズムの特徴から従来のファントムを使用した研究では、間違った方向へ結果を導く可能性があることも明らかとなった。そこで、既存のファントムを使用せずに、人体に近い組成のファントムを作成し検討する必要がある。これらの結果を踏まえて最終年度である25年度では以下の研究内容を具体的に完成させる予定である。 1)人体の肝臓を模擬するために豚の肝臓を使用してファントムを数種類作成する。2)ファントムをCTスキャナで100回程度繰り返して撮像し膨大なデータを得る。3)得られた100回の画像データから従来の再構成を使用して、現在でのゴールドスタンダード画像を作成する。4)100回の画像データそれぞれにおいて逐次近似再構成で画像を構成し、ノイズや、ばらつき、特徴量などを測定し画像の特徴を把握する。5)放射線科医に依頼しアーチファクトや画像の雰囲気、描出能について評価をおこない、これまでの逐次近似法との違いや有用性について検討する。 また、これらの研究と平行して線量を数段階変更した画像も同様に作成し、線量低減と画質との関係についても議論をおこなう。
|
次年度の研究費の使用計画 |
人体の肝臓を模擬するために豚の肝臓を使用してファントムを作成する必要があり、このファントム作成費に使用したいと考える。また、さまざまな解析を行うために解析用のソフトを追加購入したいと考える。
|