研究課題
本研究の目的は、89SrCl2を用いる疼痛緩和療法(89Sr療法) および90Y-Iritumomab tiuxetanを用いる放射免疫療法(90Y療法)の治療精度を向上させるために、1) ガンマカメラを用いて89Sr療法患者の制動X線3次元画像取得法、および90Y療法患者の制動X線と111Inのγ線の3次元同時画像化法を完成させる、2) 89Sr、 90Y3次元画像を解析し、病巣集積線量および周辺臓器の集積線量を決定する、3) 89Sr、90Y3次元画像と他の検査画像とを比較することで、病巣への集積特徴を明らかにするとともに、限界投与量を決定することである。これまでに、人体を模擬したファントムを用いて、89Sr、90Y由来の制動X線の3次元画像化成功するとともに、111In投与後の90Y由来制動X線3次元同時画像の単純分離に成功した。しかしながら、臨床適用に向けて、分解能および感度の改善が必要不可欠である。そこで、海外研究者の現時点での成果等を詳細に調査するため、欧州核医学会等に参加し、有用な情報を獲得することができた。これらの情報に基づいて、これまでの2次元の逐次近似法による画像再構成法から新たな再構成法を導入することによって分解能および感度を改善した。さらに、臨床適用可能な画像化法を完成させるため、モンテカルロシミュレーションにより、111Inのコンプトン散乱画像を作成し、90Y由来の制動X線および111Inの画像からこの111Inのコンプトン散乱画像をサブトラクションすることによって、90Y由来の制動X線画像のみを抽出する方法を考案した。現時点では、ファントム実験により、従来法よりも画質の改善が顕著であったが、111Inのコンプトン散乱画像の角度依存性の精度を高めるための方法および、111In由来のコンプトン散乱以外の要因を分析して更なる改善が必要である。
3: やや遅れている
当初の予定ではファントム実験を完了し、次年度の臨床試験に間に合わせる予定であった。しかしながら、モンテカルロシミュレーションによる111Inのコンプトン散乱画像の角度依存性の精度を高めるための方法および、111In由来のコンプトン散乱以外の要因の分析および新たな手法のプログラミングの完成に時間を要している状況である。
モンテカルロシミュレーションによる90Y由来制動X線3次元同時画像の分離画像作成のためのプログラムの完成を急ぐこと、さらに臨床データの取得を推進し、プログラムの完成を待って病巣線量および周辺臓器の線量評価を行う。
モンテカルロシミュレーションによる90Y由来制動X線3次元同時画像の分離画像作成のためのプログラムの完成させるための諸経費(その他)とする。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)
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